俯瞰の心理学──フランクルが示した“自分を超えた視点”がビジネスの迷いを消す

キャリアに迷ったとき、多くの人は「自分の中」ばかりを探そうとします。

• 自分は何がしたいのか
• 自分の適職は何か
• 自分の強みは何か
• 自分の人生の意味はどこにあるのか

しかし、この“自分視点”こそが、むなしさを生み出しているのかもしれません。

おじさんが語るフランクル心理学では、
人生の意味は “自分を超えた視点＝俯瞰” によって見えてくるといいます。

■ 「自分を超えた視点」は宗教なのか？

主人公が疑問を投げかけます。

「自分という存在を超えた視点って、宗教みたいに聞こえませんか？」

おじさんは、フランクルが語ったある例え話を紹介します。

“ワクチン開発のため、痛い思いをさせられるサル”
サルは、自分が何のために痛い注射をされているのか理解できない。
でも、それでも注射には理由がある。

そしておじさんは続ける。

「人間も同じかもしれない。
この世界の“向こう側”の意味を、俺たちは完全には知れない。
でも、知らないからといって、意味が存在しないことにはならない」

これは「神」を信じろ、という話ではありません。

“自分という個人の視点では見えない意味が、この世界にはある”

という、極めて現実的な示唆です。

■ 宗教ではなく「命」を軸にした俯瞰

おじさんは言います。

「俺は神を知らない。でも“神的な何か”を感じる瞬間はある」

• 夕日の圧倒的な美しさ
• 子どもの全力の笑顔
• 誰かの優しさに触れた瞬間

こうした感覚は、特別な宗教心ではなく、
人間なら誰しも持っている“命への敬意” の表れです。

そして続けます。

「自分の命も大事。相手の命も大事。
それが“宗教的”という言葉の本質なんじゃないかな」

フランクルが信じた「神」と、
おじさんが信じる「命」は、言葉は違っても本質は同じ。

“自分を超えた大きな視点から、自分という存在を見つめ直す”

という、俯瞰の姿勢そのものです。

■ なぜ俯瞰は必要なのか？

― キャリアの迷いは「自分視点」が強すぎるから

ビジネスでは、自分視点が強くなるほど迷いが大きくなります。

• 自分の評価はどうか
• もっと良い会社はあるか
• いまの仕事に意味はあるのか
• このキャリアに価値はあるのか

「自分が、自分が、自分が…」と意識が内側に閉じていくと、
仕事の意味は消えていきます。

おじさんはこう指摘します。

「俯瞰とは、自分を“命の視点”から見ることだ」

つまり、
自分の人生を、自分の外側から見るということ。

ビジネスに落とし込むと…

■ 自分視点の働き方

• 評価されたい
• 成果を出したい
• 認められたい
• 失敗したくない
• 楽をしたい

この状態では、意味は生まれません。

■ 俯瞰的（命視点）の働き方

• 今の仕事は誰を助けているのか
• この一手間は誰の負担を軽くするのか
• この課題は、私に何を学ばせようとしているのか
• なぜ私は“今ここ”に配置されているのか

ここにこそ、意味が立ち上がります。

■ 「命への貢献」という働き方

おじさんは核心を語ります。

「俺は『命』へ貢献することが、生きる意味だと思っている」

この考えは、ビジネスにも非常に相性が良い。

・顧客の命（人生）をよくする

・仲間の命（負荷）を軽くする

・会社の命（組織）に貢献する

・未来の命（社会）を守る

どんな仕事にも、“命への貢献”は必ずある。

たとえ単純作業でも、
小さな事務作業でも、
裏方の雑務でも。

誰かの人生の一部を支えている。

そこに意味は必ず存在する。

■ 人生の“分岐点”はいつ訪れるかわからない

おじさんは、昔見たドラマの話をする。

主人公の人生の分岐点は、
劇的な瞬間ではなく、
“何気ない日常のワンシーン”だった。

その一瞬の選択が、
未来を大きく変える。

おじさんは言う。

「俺たちに、分岐点の瞬間はわからない。
だから、どの瞬間も“問い”だと思って最善を尽くすんだ」

これはビジネスでも同じです。

• あの時の一言
• あの時の配慮
• あの時の踏みとどまり
• あの時の小さな勇気

これらがキャリアの分岐点になります。

俯瞰的に生きるとは、
“どの瞬間も人生から試されている”
という意識で働くこと。

そこに意味が宿る。

■ 最後に──「俯瞰」はキャリアの迷いを消す

フランクル心理学が教える俯瞰とは、

• 宗教ではない
• 特殊な信念でもない
• 神秘的な能力でもない

それは、

“自分という小さな視点を離れ、
命という大きな視点から自分を見る力”

です。

そしてこの力こそが、
仕事の意味を取り戻し、
キャリアの迷いをほどき、
むなしさを消していく。

あなたが今向き合っている仕事や課題は、
すべて人生からの問いです。

その問いにどう応えるかが、
あなたの“命の使い方＝使命”になる。

今日の一瞬一瞬が、
あなたのキャリアの分岐点なのです。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。