自己啓発

あちらを立てればこちらが立たず…八方塞がりな状況で「最善の答え」を出す技術

taka

重要な決断を迫られたとき、「上司が怒っているから(恐怖)」「なんとなく気が乗らないから(気分)」といった理由で答えを選んでしまい、後悔したことはありませんか?

私たちはつい、その場の**「感情」や、目の前の「状況」**に反応して行動を決めてしまいます。

しかし、世界的な名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィーは、そうした不安定なものではなく、**「原則(不変の真理)」**を中心にして生きるべきだと説いています。

「原則中心」の生き方とは、いわば**「高性能なコンパスを持って地図を見る」**ようなものです。 天気が荒れようが(感情)、道が工事中だろうが(状況)、コンパスが指す「北(原則)」は変わりません。だからこそ、迷わずに目的地へ進めるのです。

私は理学療法士として働いていますが、医療現場でも「患者さんが痛がっているからリハビリをやめる(感情)」ではなく、「回復の原則に従って、適切な負荷をかける(原則)」という判断が、最終的に患者さんを救います。

この記事では、仕事や家族のニーズが対立する複雑な状況下で、どうすれば感情に流されず「最善の解決策」を見出せるのか、その思考法を解説します。

感情で決めると「事故」が起きる

コヴィー博士は、原則中心の生き方についてこう述べています。

あなたが原則中心の生き方をしているなら、その場の感情のように、あなたに影響するさまざまな要因から一歩離れ、いくつかの選択肢を客観的に検討するだろう。

多くの人は、刺激に対して即座に反応してしまいます。 「売り言葉に買い言葉」で喧嘩をしたり、プレッシャーに負けて不正に手を染めたり……。これらは全て、**「一歩離れる」**ことができず、感情という荒波に飲み込まれた結果です。

ドローン視点を持とう

原則中心の人は、トラブルが起きた瞬間に、心をドローンのように上空へ飛ばします。 そして、「今、自分は怒っているな」「上司は焦っているな」と、状況を上から客観的に眺めるのです。

この**「一歩離れる(客観視)」**というワンクッションがあるだけで、感情的な暴走事故は防げます。

「何か」中心の生活は脆い

私たちは無意識に、何かを生活の中心(判断基準)に置いています。しかし、原則以外を中心にしてしまうと、判断がブレてしまいます。

  • 仕事中心の人: 「家族の病気」よりも「会議」を優先してしまう。(仕事が判断基準)
  • 家族中心の人: 「自分の成長」や「社会的な責任」を犠牲にしてしまう。(家族の評判が判断基準)
  • お金中心の人: 「利益」のために「倫理」を捨ててしまう。(損得が判断基準)

これらは状況によって変化するため、安定した土台にはなりません。

すべてのニーズを「調合」する技術

では、原則中心の人はどう判断するのでしょうか。

仕事上のニーズ、家族のニーズ、(中略)すべての要素を考え合わせ、全体をバランスよく眺めて最善の解決策を見いだす努力をする。

これは、料理人がスパイスを調合するのに似ています。 「仕事」か「家族」か、どちらか一方を選ぶ(AかBか)のではありません。 「原則(誠実さや貢献)」に照らし合わせて、今の状況で最も全体の幸福度が高くなる「第3の案(C)」を作り出すのです。

医療現場のトリアージ

例えば、救急医療の現場では「子供だから助ける(感情)」ではなく、「救命の原則(助かる見込みが高い順)」に従って処置の優先順位を決めます。 一見冷たく見えますが、それが結果として「最も多くの命を救う(最善の解決策)」ことにつながります。

原則中心であるということは、一時的な感情に流されず、長期的かつ全体的な視点で「本当の正解」を選ぶ強さを持つことなのです。


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まとめ・アクションプラン

今回の記事の要点をまとめます。

  1. 「原則中心」とは、感情や状況に流されず、不変の真理を判断基準にする生き方。
  2. 仕事や家族など、特定の対象を中心(判断基準)にすると、バランスが崩れて判断を誤る。
  3. 一歩引いた視点(客観視)を持ち、すべての要素を考慮して「全体の最善」を導き出すのが原則中心の判断。

Next Action:迷ったら「原則」を問いかける

次に何か決断に迷ったとき(残業するか帰るか、買うか買わないか等)、コイン投げや気分で決める前に、こう自問してみてください。

「もし私が、誠実で公正な原則に従うとしたら、今どうするのが正解だろうか?」

この問いかけが、あなたの視点を「地上の泥沼(感情)」から「上空(原則)」へと引き上げてくれます。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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