子供が本音を話してくれない…関係改善の鍵は「一対一」と「共感」にあり
「最近、子供が学校のことを話してくれない」 「注意しても反抗されるばかりで、心が通っていない気がする」
日々の忙しさにかまけて、お子さんとの間に「見えない壁」を感じてお悩みではありませんか?
親としては子供のためを思ってアドバイスしているつもりでも、それが逆効果になっていることは珍しくありません。実は、子供が求めているのは「正論」ではなく、もっと根源的な「安心」なのです。
この記事では、『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーの言葉をもとに、親子関係を劇的に改善する**「信頼口座」と「心の空気」**という考え方をご紹介します。
理学療法士として多くの患者さんと接する中でも痛感しますが、信頼関係のないところに「改善」は生まれません。この記事を読めば、今日からお子さんへの接し方が変わり、温かい信頼関係を取り戻すきっかけがつかめるはずです。
結論から言うと、まずはアドバイスを捨てて**「ただ、理解するためだけに聴く」**ことから始めましょう。
子供の心に「空気」を送り込んでいますか?
人間が生きていく上で、最も激しい欲求は何でしょうか? それは「空気を吸うこと」です。空気がなければ、他のことなど考えられません。
コヴィー博士は、心理的な世界でもこれと同じことが起きていると言います。
「信頼口座の残高を増やす努力をし、子どもの心に空気を送り込むのである」
理解されることは、空気を吸うことと同じ
子供にとって、親に「理解される」「自分の気持ちを受け入れてもらう」ことは、心理的な空気を吸うことと同じくらい重要です。
もし、あなたが誰かに首を絞められて息ができない時、「部屋を片付けなさい」「勉強しなさい」と言われて、素直に聞けるでしょうか? 無理ですよね。まずは息をさせてくれと思うはずです。
子供が反抗したり心を閉ざしたりするのは、「理解されていない(息ができない)」と苦しんでいるサインかもしれません。まずは説教をやめ、話を聴いて「心に空気」を入れてあげることが最優先です。
「ながら聞き」厳禁!一対一の聖なる時間をつくる
では、どうやって心に空気を送ればいいのでしょうか。その第一歩がこれです。
「子どもと一対一で話す時間をつくってみよう」
兄弟一緒や、テレビを見ながら、スマホを触りながらでは意味がありません。「あなただけを見ているよ」という**一対一の特別な時間(デート)**を作ってください。
- 月に一度、二人だけでカフェに行く
- 寝る前の10分間、スマホを置いて話す
- 一緒に散歩をする
こうした時間の中で、**「子どもを本気で理解するつもりで、真剣に耳を傾ける」**のです。親の意見やアドバイスは一切挟まず、ただ子供の言葉と感情を受け止めます。
親の眼鏡を外し、「子供の目」で世界を見る
大人はつい、自分の経験(親の眼鏡)を通して子供の問題を判断しがちです。「そんなこと大したことない」「もっとこうすればいい」と。 しかし、コヴィーはこう提案します。
「家庭のこと、学校のこと、あるいは子どもが直面している人生の試練や問題を、子どもの目を通して見る」
子供にとっての「友達との喧嘩」は、大人にとっての「会社の倒産」と同じくらい深刻かもしれません。 子供の視点に降りて、子供が見ている世界を一緒に追体験すること。これが「信頼口座」への最大の預け入れ(貯金)になります。
信頼口座とは、人間関係における「信頼の貯金」です。
- 預け入れ:話を聴く、約束を守る、親切にする
- 引き出し:怒る、約束を破る、話を無視する
残高がたっぷりあれば、少しくらい叱っても(引き出し)、関係は揺らぎません。しかし、残高がゼロの状態で叱れば、関係は破綻します。まずは「聴くこと」で貯金を増やしましょう。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 「理解されること」は、子供にとって「心理的な空気」を吸うのと同じくらい重要。
- スマホを置き、子供と「一対一」で向き合う時間を作る。
- アドバイスは不要。まずは子供の視点で世界を見て、「信頼口座」の残高を増やす。
子供を変えようとするのではなく、まず親が「聴き方」を変えること。それが遠回りのようでいて、最も確実な解決策です。
Next Action:今週末は「親子デート」へ
今週末、または今日の夜、お子さんと15分だけでも「一対一の時間」を作ってみませんか? そして、もしより深く家族関係の原則を学びたいなら、コヴィー博士の名著**『7つの習慣 ファミリー』**を手に取ってみてください。ビジネス版よりも家庭に特化した内容で、具体的な事例が多く、涙なしには読めない一冊です。
