まだ「床の水拭き」を続けますか?その努力では一生問題は解決しない理由
「残業を減らしたいのに、頑張って仕事をこなすほど次々と仕事が増える」 「人間関係のトラブルを解決しようと話し合ったら、余計にこじれてしまった」
良かれと思って努力したのに、状況が一向に良くならない…そんな「出口のないトンネル」に迷い込んでいませんか?
もしそうなら、一度立ち止まってアインシュタインの言葉に耳を傾けてみてください。解決しない理由は、努力不足ではなく、「戦う土俵(思考のレベル)」が間違っているからかもしれません。
この記事では、20世紀最高の物理学者アルベルト・アインシュタインが遺した言葉をヒントに、八方塞がりな状況を打破する思考法について解説します。 理学療法士として多くの症例を見てきましたが、痛い場所だけをマッサージしても治らない(同じレベルの解決策)ことが、姿勢を変える(上のレベルの解決策)だけで劇的に改善することはよくあります。
結論をお伝えします。今の問題を解決したいなら、今の自分を捨てて、一段高い場所から世界を見る必要があるのです。
「同じレベル」では永遠に解決しない
アインシュタインは、私たちが陥りがちな罠について、こう警鐘を鳴らしました。
「我々の直面する重要な問題は、その問題をつくったときと同じ思考のレベルで解決することはできない」
これはどういうことでしょうか。 わかりやすい例として、「水道管が壊れて床が水浸しになった」場面を想像してください。
- 問題発生レベルの思考: 「床が濡れている!大変だ、雑巾で拭かなきゃ!」 → これが「問題をつくったとき(起きたとき)と同じレベル」の対応です。 いくら高速で雑巾がけをしても(努力しても)、水は漏れ続け、問題は解決しません。
- 一段高いレベルの思考: 「なぜ濡れる? 水道管が壊れているからだ。まずは元栓を閉めよう」 → これが「思考のレベルを変える」ということです。
私たちは人生の悩みにおいて、必死に「雑巾がけ」ばかりしていないでしょうか?
迷路の中にいると出口は見えない
なぜ私たちは「雑巾がけ(対症療法)」に必死になってしまうのでしょうか。 それは、問題の当事者として「迷路の中」にいるからです。
迷路の中にいる人は、目の前の壁しか見えません。「右に行こうか、左に行こうか」というレベルで悩み続けます。これが「同じ思考レベル」です。
しかし、視点を上げて「空」から迷路を見下ろせば(メタ認知)、出口は一目瞭然です。「そもそもこの迷路に入る必要はなかった」とか「壁を乗り越えればいい」といった、全く別の解決策が見えてきます。
リハビリ現場での「視座」の違い
私の専門であるリハビリの現場でも同じことが起きます。
- 患者さん(問題と同じレベル):「膝が痛いから、膝に湿布を貼る」
- 専門家(高い思考レベル):「膝が痛む原因は、股関節が硬くて膝に負担がかかっているからだ。股関節を治療しよう」
膝が痛いという問題を解決するために、膝だけを見ていては治りません。 「視座」を上げて全体を見ることで初めて、根本的な解決策が見つかるのです。
思考のレベルを上げる具体的な方法
では、どうすれば思考のレベルを上げることができるのでしょうか。 それは、「How(どうやって)」ではなく「Why(なぜ)」と問うことです。
- × How(どうやって処理しよう?) 「どうやってこの大量の書類を今日中に片付けようか?」 → これは今のレベルでの解決策(残業、根性論)しか出ません。
- ○ Why(なぜこれが必要?) 「そもそも、なぜこの書類が必要なんだっけ? デジタル化すれば不要ではないか?」 → これが思考のレベルを上げた解決策(仕組みの変革)です。
行き詰まった時こそ、「やり方」を探すのをやめて、「前提」を疑ってみてください。それがアインシュタインの言う「新しい思考レベル」への入り口です。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 今の悩みは、今の考え方のままでは解決できない(アインシュタインの警告)。
- 必死に「床の水拭き」をするのではなく、「元栓」を探す視点を持つ。
- 「どうやって(How)」ではなく「なぜ(Why)」と問うことで、思考レベルは上がる。
頑張っても報われない時は、頑張り方が間違っているのではなく、**頑張る場所(次元)**が間違っているのです。一度手を止めて、高いところから自分を見下ろしてみましょう。
Next Action:「そもそも」をつけて自問する
今日、何か問題にぶつかったら、こう呟いてみてください。 「そもそも、これってやる必要ある?」 「そもそも、何のためにやってるんだっけ?」
この「そもそも」という言葉には、強制的に思考レベルを引き上げる力があります。
思考の枠を外し、本質的な問題解決力を鍛えたい方には、『イシューからはじめよ』(安宅和人 著)や、今回の名言も引用されている**『7つの習慣』**がおすすめです。小手先のテクニックではない、一生モノの思考OSをインストールできます。
