あなたの不運は「星のせい」ではない。人生をハードモードにする「呪いの言葉」とは?
「また失敗した。やっぱり私はダメな人間なんだ」 「上司が変わらない限り、私の仕事はうまくいくはずがない」 「今日は仏滅だから、何をやっても無駄だ」
ふと、こんな言葉を口にしたり、心の中でつぶやいたりしていませんか?
私たちは普段、自分の不運を「能力」や「環境」、あるいは「運勢」のせいにしがちです。 しかし、世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士は、それは順序が逆だと指摘しています。
あなたがダメだから失敗するのではありません。 あなたが**「私はダメだ」と言い続けているから、失敗するという現実が引き寄せられている**のです。
この記事では、心理学で「自己達成予言」と呼ばれるこの恐ろしいメカニズムと、そこから抜け出して人生の主導権を取り戻す方法について解説します。
結論から言うと、「言葉」を変えない限り、あなたの「運命」は変わりません。 その理由を紐解いていきましょう。
自分で自分に呪いをかける「反応的な言葉」
コヴィー博士は、責任を放棄するような言葉づかいを「反応的な言葉」と呼び、強く警鐘を鳴らしています。
- 「~しかできない」
- 「~しなければならない」
- 「~のせいで」
これらの言葉の何が厄介なのでしょうか。 それは、これらの言葉が**「自己達成予言」**になってしまうからです。
自己達成予言のメカニズム
例えば、あなたが「私は人前で話すのが苦手だ(生まれつきそういう人間だ)」と思い込んでいるとします。
- 思い込み:「どうせ失敗する」と口にする。
- 行動:失敗する証拠を探すように、準備をおろそかにしたり、過度に緊張したりする。
- 結果:実際にプレゼンで噛んでしまう。
- 強化:「ほら見ろ、やっぱり私は苦手なんだ」と確信する。
コヴィー博士はこう述べています。
決定論のパラダイムに縛られている人は、自分はこういう人間だという思い込みを強くし、その思い込みを裏づける証拠を自分でつくり上げてしまう。
つまり、自分で「失敗するシナリオ」を書き、その通りに演じ、最後には「やっぱりね」と納得しているのです。これは、自分で自分に呪いをかけているのと同じことではないでしょうか。
「被害者意識」が人生を破壊する
「反応的な言葉」を使い続けることの最大の弊害は、心がどんどん**「被害者」**になっていくことです。
「あいつが悪い」「会社が悪い」「景気が悪い」「星座占いが最下位だったから悪い」……。
自分の不幸を他者や状況のせいにする。星のせいだとまで言い出しかねない。
不幸の原因を外側に求めている限り、あなたは一生、何かに怯え、何かに不満を言い続けるだけの人生を送ることになります。 なぜなら、他人や星の動きはコントロールできないからです。コントロールできないものに依存している状態は、まさに「奴隷」のような不自由さです。
運命を変える「主体の言葉」へ書き換えよう
では、どうすればこの悪循環を断ち切れるのでしょうか。 それは、言葉の「主語」を自分に取り戻すことです。
これを**「主体的な言葉」**と言います。
- × 反応的:「彼が私を怒らせるんです」
- (主導権は彼にある)
- 〇 主体的:「私は、怒らない対応を選択します」
- (主導権は私にある)
- × 反応的:「時間がなくて、できません」
- (時間に支配されている)
- 〇 主体的:「私は、他の優先順位が高いので、それをやらないと決めました」
- (自分で決めている)
「~せざるを得ない」を「~することを選ぶ」と言い換えてみてください。 たったそれだけで、「やらされている感」が消え、自分で人生をコントロールしている感覚(自己効力感)が湧いてくるはずです。
まとめ・アクションプラン
言葉はただの音ではありません。あなたの未来を作る設計図です。 今回のポイントは以下の3点です。
- 「どうせ無理」などの反応的な言葉は、現実そのものを失敗へと誘導する「自己達成予言」になる。
- うまくいかない原因を他人や環境(星のせい)にしていると、一生「被害者」のまま終わる。
- 言葉を「私が選択する」に変えるだけで、運命を切り開く力が湧いてくる。
Next Action
今日一日、自分が発する言葉を注意深く観察してみてください。 そして、もし「~しなきゃいけない(I have to)」と言いそうになったら、すかさず**「~することを選ぶ(I choose to)」**と言い直してみてください。
「会社に行かなきゃ」ではなく「会社に行くことを選ぶ(生活のため、キャリアのため)」。
この小さな言い換えが、あなたの脳のスイッチを「被害者モード」から「主人公モード」へと切り替えてくれます。
言葉の力が人生に与える影響について、さらに深く学びたい方は、『7つの習慣』の第1の習慣を熟読することをおすすめします。 ここには、あなたの口癖を変え、人生の脚本を書き換えるための具体的なトレーニング方法が記されています。
