その「Win-Win」は嘘くさい。口先だけの人との約束が無意味なワケ
「お互いにメリットのある話をしましょう(Win-Win)」
ビジネス書やセミナーでよく聞く言葉ですが、実際にこれを口にしたとき、相手がなんとなく**「引いている」**と感じたことはありませんか? あるいは、言葉では調子のいいことを言っているけれど、どうしても信用できない人が周りにいませんか?
「Win-Win」は素晴らしい考え方ですが、多くの人が大きな勘違いをしています。それは、Win-Winを「相手を説得するためのテクニック」だと思っていることです。
世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士はこう断言します。 「自分自身に対して誠実でない人間が、口先だけでWin-Winと言っても、信頼関係などできるわけがない」
この記事では、なぜ小手先のテクニックが通用しないのか、そして本当の信頼を築くために必要な**「誠実さ(インテグリティ)」**について解説します。
結論から言うと、「自分との約束を守れる人」だけが、他人と本当の約束ができるのです。
なぜ「口先だけのWin-Win」はバレるのか?
人間には、相手の本能的な嘘を見抜くセンサーが備わっています。
どんなに笑顔で「あなたのためを思って…」と言われても、その人の内面に「自分さえ良ければいい」という下心や、「実は自分の本当の望みがわかっていない」という迷いがあると、相手は敏感にそれを察知します。
コヴィー博士はこれを**「裏表のある人」**と表現しています。
- 口では: 「協力しましょう」
- 腹の底では: 「どうやって自分の利益を最大化しようか」「実は何がしたいか自分でもわからない」
このように言動と内心が一致していない人に対し、私たちは本能的に身構え(防御態勢をとり)ます。 「この人は信用できない。騙されないように気をつけよう」と思われた時点で、Win-Winの関係なんて築けるはずがありませんよね。
すべては「自分を知る」ことから始まる
そもそも、あなたにとっての「Win(勝利・成功)」とは何でしょうか?
「お金持ちになること?」 「出世すること?」 「家族と平穏に暮らすこと?」
自分の心の奥底にある**「本当に大切にしたい価値観」**を知らずに、「Win-Winを目指そう」というのは無理な話です。自分がどこに行きたいかわからないのに、相手を道案内に誘うようなものです。
まずは、自分の内面を見つめ、**「私にとっての本当の幸せ(Win)はこれだ」**と確信すること。それがスタートラインです。
誠実さは「人格の要石(かなめいし)」
自分の価値観がわかったら、次に来るのが**「誠実さ」**です。 ここで言う誠実さとは、単に嘘をつかないことではありません。
**「自分自身との約束を守ること」**です。
- 「朝6時に起きる」と決めたら起きる。
- 「相手の話を最後まで聞く」と決めたら聞く。
自分でした約束を守れない人は、自分自身を信頼できていません(自信がない状態)。 「自分すら信用していない人」が、「私を信用してください」と他人に言っても、誰もついてこないのは当然です。
コヴィー博士は、誠実さを**「人格という基礎の要石」**と呼びました。 石造りのアーチ橋を想像してください。一番真ん中にある重要な石(要石)が抜けると、橋全体が崩れ落ちてしまいます。
人間関係も同じです。「誠実さ」という要石がなければ、どんなに高度な交渉テクニック(Win-Win)を積み上げても、すぐに崩壊してしまうのです。
テクニックではなく「あり方」を磨く
もし、あなたが人間関係で行き詰まっているなら、会話のテクニックを学ぶのを一度やめてみてください。 その代わりに、以下の問いを自分に投げかけてみましょう。
- 「私は、自分の本当の価値観(Win)を理解しているか?」
- 「私は、自分との約束を守っているか?」
この土台がしっかりして初めて、あなたの言葉に重みと信頼が宿ります。 「この人は裏表がない」「本心で話している」と相手に伝わったとき、テクニックを超えた本当の信頼関係(Win-Win)が生まれるのです。
まとめ・アクションプラン
信頼は、言葉ではなく生き様から生まれます。
- 自分の本当の価値観(Win)を知らなければ、Win-Winの関係は築けない。
- 「裏表のある態度」はすぐに相手に伝わり、身構えられてしまう。
- 「誠実さ」とは自分との約束を守ること。これが人格の土台(要石)となり、他者との信頼を作る。
信頼される自分になるための Next Action
【今日、自分と「小さな約束」をして守る】 壮大な目標でなくて構いません。今日一日の中で、必ず守れる約束を自分としてください。
- 「帰宅したら靴を揃える」
- 「寝る前にスマホを別室に置く」
- 「コンビニで募金をする」
**「決めたことを、実際にやった」**という小さな成功体験の積み重ねが、あなたの「誠実さ」の筋肉を鍛え、やがて周りの人からの厚い信頼へと変わっていきます。
