手出し口出しは「失礼」です。相手の可能性を殺さない7つの習慣の教え
「あの人に任せて、本当に大丈夫だろうか?」 「失敗させると可哀想だから、私がやってあげよう」
部下や後輩、あるいは自分の子供に対して、ついこんなふうに**「転ばぬ先の杖」**を出してしまっていませんか?
相手に責任を負わせることを、「冷たいこと」「突き放すこと」だと感じて、罪悪感を覚える優しい人も多いかもしれません。
しかし、世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士は、全く逆の視点を提示しています。
「人に責任を持たせることは、突き放すことではない。むしろ、その人の人間性を認める最高の敬意である」
この記事では、なぜ「手助け」が時に相手の可能性を奪うのか、そしてどうすれば相手の「主体性」を引き出せるのかについて解説します。
結論から言うと、「あなたならできる」と信じて任せることこそが、相手への一番の愛なのです。
手助けが「あなたは無力だ」というメッセージになる?
リハビリテーションの現場を想像してみてください。
怪我をして歩くのが大変な患者さんがいます。 セラピストや家族が、「可哀想だから」と言って、常に車椅子を押してあげたり、抱きかかえて移動させてあげたりしたらどうなるでしょうか?
その瞬間は楽かもしれません。しかし、それではいつまで経っても患者さんの足の筋肉は戻らず、一人で歩けるようにはなりません。 過剰な手助けは、無意識のうちに**「あなたは一人では歩けない弱い人だ」**というメッセージを相手に刷り込んでしまいます。
責任=信頼の証
仕事や子育てもこれと同じです。 「責任を持たせる」というのは、重荷を背負わせるイジメではありません。
「あなたには、この課題を乗り越える力(筋肉)がある」
そう認めているからこそ、任せるのです。 つまり、責任を与えることは、相手に対する**「能力の承認」であり、深い「信頼の証」**なのです。
誰もが持っている「主体性という筋肉」
コヴィー博士は、人間には生まれつき**「主体性」**という筋肉が備わっていると言います。
- 主体性とは: 自分の人生を自分で選択し、動かす力のこと。
普段、指示待ち人間のように見える部下や、やる気がないように見える子供であっても、この筋肉が「ない」わけではありません。 ただ、**「使われていなくて眠っている(筋肉が落ちている)」**だけなのです。
筋肉は使わないと目覚めない
眠っている筋肉を目覚めさせる唯一の方法は、**「使うこと」**です。
あなたが先回りして問題を解決してしまうと、相手は主体性の筋肉を使うチャンスを失います。 逆に、あえて手を出さず、「この結果に対する責任は君にあるよ。君ならどう解決する?」とボールを渡すことで、相手は初めて自分の頭で考え、筋肉を動かし始めます。
最初は筋肉痛(失敗や苦労)があるかもしれません。しかし、それこそが成長痛であり、人間としての強さを取り戻すプロセスなのです。
「歪んでいない本当の姿」を映し出す鏡になる
私たちが相手に対して「あなたなら責任を果たせる」という態度で接するとき、私たちは相手にとっての**「鏡」**になります。
- 過保護な鏡: 「あなたは一人では無理だから、私がやるね」 → 相手には「無力な自分」が映る。
- 信頼の鏡: 「あなたには力があるから、任せるよ」 → 相手には**「主体性のある、力強い自分(本当の姿)」**が映る。
今の姿がどうであれ、あなただけは相手の可能性(歪んでいない姿)を信じて接し続ける。 そうすると、相手は「自分は信頼されている」「自分には価値がある」と感じ、やがてその期待通りの人物へと成長していきます。
これを心理学では「ピグマリオン効果」とも呼びますが、コヴィー博士はもっと根源的な**「人間としての尊厳」**の話として語っています。
まとめ・アクションプラン
責任を課すことに罪悪感を持つ必要はありません。
- 人に責任を持たせることは「突き放し」ではなく、その人の能力を認める「敬意」の表れ。
- 主体性は「筋肉」と同じ。使わなければ衰え、任せて使わせれば必ず強くなる。
- 「あなたならできる」と信じて任せることで、相手は自分の可能性(本当の姿)に気づくことができる。
相手を信じて任せる Next Action
【「待つ」勇気を持つ】 今日、部下や子供が何かに困っていたり、失敗しそうになったりしても、すぐに手や口を出さずに「3分間」だけ待ってみてください。 そして、アドバイスをする代わりにこう聞いてみましょう。
「あなたはどうしたい? あなたならどう解決できると思う?」
その問いかけが、相手の眠っている「主体性のスイッチ」を押すきっかけになります。
