部下が育たないのは「指示」が細かいから?リーダーが捨てるべき「手段」への執着
「部下に仕事を頼むより、自分でやった方が早いし確実だ」 「任せたはずなのに、結局手直しで二度手間になった……」
リーダーやマネージャーの立場にある方なら、一度はこう嘆いたことがあるのではないでしょうか。 仕事を抱え込みすぎて、自分の時間が全くない。でも、部下に任せるのは不安。
そんなジレンマから抜け出すための鍵が、世界的名著『7つの習慣』に記されています。それが**「全面的なデリゲーション(権限委譲)」**です。
結論から言うと、上手な任せ方とは「やり方(手段)」を指示することではありません。「どんな状態になっていればOKか(結果)」だけを共有し、あとは相手を信じて任せることです。
この記事を読めば、あなたの仕事のスタイルは「管理」から「育成」へと変わり、自由な時間を生み出しながら、頼もしいチームを作ることができるようになります。
「使い走り」と「全面的なデリゲーション」の違い
コヴィー博士は、仕事の任せ方には2種類あると言います。
- 使い走りのデリゲーション:「これやって、次はあれやって、その次はこうして」と、やり方を細かく指示する。
- 全面的なデリゲーション:「やり方は任せるから、この結果を出してほしい」と、ゴールだけを共有する。
多くのリーダーが陥っているのは、前者の「使い走り」です。
ロボットを作るか、パートナーを作るか
「使い走り」の任せ方は、あたかも部下をリモコンで動くロボットのように扱っています。 これでは、部下は言われたことしかしなくなりますし、何かあればすぐ「次はどうすればいいですか?」と聞きに来ます。結果、あなたの時間は奪われ続けます。
一方、「全面的なデリゲーション」は、相手を一人の自律した人間として扱います。 手段を自由に選ばせることで、相手の創意工夫や責任感が芽生えるのです。
「やり方」は自由、「結果」は約束
全面的なデリゲーションの極意は、**「手段ではなく結果を重視する」**点にあります。
これを小学生でもわかるように**「旅行」**で例えてみましょう。
- 使い走り:「A駅から〇〇線の電車に乗って、3両目の右側の席に座りなさい。B駅で降りて……」といちいち指示する。
- 全面的デリゲーション:「夕方6時までに、大阪のホテルに着いていてね。新幹線でも飛行機でも、好きな方法で行っていいよ」と伝える。
後者の場合、相手は「じゃあ、景色が見たいからバスで行こうかな」とか「早く着いて美味しいものを食べたいから新幹線にしよう」と自分で考えますよね。 ビジネスでも同じです。「来週までに契約を1件取ってきて」という結果(ゴール)さえ握っておけば、電話営業だろうがメール営業だろうが、手段は部下の得意なやり方に任せればいいのです。
最初の「時間投資」を惜しまない
ただし、これには一つだけ重要な条件があります。 それは、「何が期待されているのか(どんな結果が欲しいのか)」を、最初にお互いが完全に理解し、納得することです。
「適当にやっておいて」という丸投げとは違います。
- どんな成果物が必要か?
- 締め切りはいつか?
- 使える予算やリソースは?
- 守るべきルールは?
これらを最初にじっくり話し合う必要があります。 元の文章にもある通り、これには**「初めは時間がかかります」**。
効率化のための「急がば回れ」
忙しいリーダーほど、この説明時間を惜しんで「もういい、俺がやる!」となってしまいがちです。 しかし、ここでかけた時間は**「浪費」ではなく「投資」**です。
最初に1時間をかけて丁寧にイメージを共有すれば、その後、部下が勝手に10時間、100時間分の仕事をしてくれるようになります。 逆に、ここをサボると、永遠にあなたが部下の尻拭いをし続けることになります。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 「やり方」を細かく指示するのは「使い走り」であり、部下は育たない。
- 「結果」と「期限」だけを握り、プロセスは相手に自由に選ばせる。
- 最初に行う「期待値のすり合わせ」にかかる時間は、将来のための巨大な投資である。
最後に、今日からできるアクションプランです。
【Next Action】 次に誰かに仕事を頼む時、「やり方(How)」を口出しするのをグッと堪えてください。 その代わり、「最高の完了状態はこれだよ(Result)」というイメージを伝えることに全力を注ぎましょう。そして最後に一言、**「やり方は任せるよ」**と伝えてみてください。 その一言が、部下の目の色を変えるスイッチになります。
