自己啓発

ストア哲学に学ぶ「コントロールと選択」──変えられるものに力を注ぐ生き方

変えられるものと変えられないものを区別する

「人生の主な仕事とは、物事を区別し、分類することだ。どれが自分の力の及ばない外的なもので、どれが自分の意志にかかっている選択なのかを、自分自身にはっきりと言えるようになること」

古代ギリシャの哲学者エピクテトスは、このように語りました。ストア哲学の中でも最も重要とされる原則は、**「変えられるものと変えられないものを見極める」**ことです。

私たちは日常の中で、どうにもならない外的要因に振り回されがちです。例えば:

  • 天候による飛行機の遅延
  • 生まれ持った体格や容姿
  • 他人の感情や反応

これらは、努力しても変えることはできません。それにもかかわらず、つい「なんでこうなるんだ」と苛立ったり、「もし別の環境に生まれていたら」と想像したりしてしまいます。問題は、こうした格闘にエネルギーを費やす間に、本来自分が変えられることに集中できなくなることです。


ニーバーの祈りにみる知恵

依存症回復の場でよく唱えられる「ニーバーの祈り」は、ストア哲学と深く通じています。

神よ、変えることのできないものについては、穏やかに受け入れられますように。
変えることのできるものについては、変える勇気をもてますように。
そしてどうか、この二つを見分ける知恵をお与えください。

過去の出来事や他人の行動は変えられません。依存症の人にとって、かつての過ちやその結果はどうすることもできない現実です。しかし、未来をどう選ぶかは自分次第です。

これは依存症に限らず、私たちの毎日にそのまま当てはまります。


今この瞬間にできる選択

ストア哲学が教えるのは、**「今の選択は自分で決められる」**ということです。

  • 天候を変えることはできないが、「どう過ごすか」を選ぶことはできる。
  • 他人の感情を操作することはできないが、「自分の言葉や態度」を選ぶことはできる。
  • 過去の失敗は消せないが、「次に同じことを繰り返さない選択」はできる。

こうして、自分の力が及ぶ部分に意識を向ければ、余計なストレスを抱えずにすみます。


コントロールの錯覚から解放される

多くの人は「勝ち目のない闘い」に時間を費やしています。

  • どうにもならないことを変えようと試みる
  • 他人を自分の思い通りにしようとする
  • 完全に偶然に左右されることに一喜一憂する

しかし、これらは本質的に「コントロールできない領域」です。そこにエネルギーを注ぐ限り、不満や焦燥感から逃れることはできません。

逆に「自分が変えられることは何か?」と問い直せば、毎日の行動や選択に集中できるようになります。その結果、他人に振り回されることなく、より主体的で平穏な日々を送れるのです。


まとめ:ストア哲学を現代に活かす

エピクテトスが説いた「コントロールと選択」の原則は、現代社会においても強力な指針となります。

  • コントロールできないことは受け入れる
  • コントロールできることには力を注ぐ
  • その違いを見極める知恵をもつ

この視点をもつだけで、人生の悩みの多くは軽くなります。他人や環境を変えようとするのではなく、「今の自分の選択」に焦点を当てる。それこそがストア哲学的な生き方であり、心の平穏への近道といえるでしょう。

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taka
理学療法士TAKAが自分の臨床成果を少しでも高めるために、リハビリ・運動学・生理学・物理療法について学んだ内容を発信。合わせて趣味の読書や自己啓発等の内容の学びも自己満で発信するためのブログです。