沈む船で椅子を並べるな。「効率化」ばかり求める人が陥る残酷な罠
「今日もToDoリストを全部消化した! 効率よく仕事ができたぞ」 「この作業、もっと短時間で終わらせる方法はないかな?」
私たちは日々、いかに「効率よく」物事を進めるかに頭を悩ませています。 しかし、ふと立ち止まった時、「これだけ頑張って、一体どこに向かっているんだろう?」と虚しくなることはありませんか?
もしそう感じるなら、あなたは**「沈みゆく船の上で、必死に働いている」**状態かもしれません。
この記事では、世界的名著『7つの習慣』から、「マネジメント(効率)」と「リーダーシップ(方向性)」の決定的な違いについて解説します。
結論から言うと、どれだけ手際よく作業をこなしても、向かっている方向が間違っていれば、その努力はすべて水の泡になります。
この記事を読めば、ただの「作業ロボット」から脱却し、自分の人生という船を正しい目的地へ導く「船長」としての視点が手に入ります。
「沈みゆくタイタニック」で何をしているのか?
コヴィー博士は、リーダーシップのないマネジメントの状態を、皮肉たっぷりにこう表現しています。
「沈みゆくタイタニック号の甲板に椅子をきちんと並べるようなもの」
想像してみてください。 豪華客船タイタニック号が、氷山に衝突して沈没し始めています。 それなのに、甲板員が汗だくになってこう言っているのです。
「おい、このデッキチェアの並びが3センチずれているぞ! もっと綺麗に並べ直そう!」 「昨日は1時間かかったけど、今日は効率化して30分で並べ終わったぞ!」
滑稽ですよね? 船が沈んでしまえば、椅子がどれだけ綺麗に並んでいようが何の意味もありません。
- 椅子の並びを整える人(マネジメント):「どうすればもっと効率よくできるか?」を考える。
- 氷山に気づいて進路を変える人(リーダーシップ):「そもそも、この船はどこに向かっているのか? 安全か?」を考える。
多くの企業や個人が、船が沈みかけている(業界が衰退している、人生の目的を見失っている)のに、目の前の「椅子の整列(日々の雑務)」に必死になっているのが現実なのです。
「正しく行う」より「正しいことを行う」
この2つの言葉は似ていますが、意味は全く異なります。
- マネジメント = 物事を「正しく」行うこと(How) はしごを効率よく、素早く登ることです。「時計」を見て時間を管理する能力です。
- リーダーシップ = 「正しい」物事を行うこと(What / Where) はしごが「正しい壁」にかかっているか確認することです。「コンパス」を見て方向を決める能力です。
どんなに高性能なエンジン(マネジメント能力)を持っていても、コンパス(リーダーシップ)が壊れていては、断崖絶壁に向かって全力疾走することになります。それは、単なる自殺行為です。
なぜ私たちは「椅子並べ」に逃げるのか?
それなのに、なぜ私たちはリーダーシップをおろそかにして、マネジメント(効率化)ばかり気にするのでしょうか?
それは、「椅子を並べる」方が楽で、達成感があるからです。 目の前のタスクを片付けると、「仕事をした!」という満足感が得られます。 一方で、「この船の進路は合っているのか?」「私の人生はこのままでいいのか?」と考えることは、答えのない問いに向き合う苦しみを伴います。
だからこそ、私たちは思考停止して、「忙しさ」という麻酔に逃げ込んでしまうのです。
まず「コンパス」を見る勇気を持つ
今の努力を無駄にしないために必要なのは、作業の手を一旦止める勇気です。
会社で言えば、 「この資料作成を10分短縮しよう」と考える前に、 **「そもそもこの資料、誰が読んでるの? 作る必要あるの?」**と問うこと。
人生で言えば、 「どうやって年収を上げるか」を考える前に、 **「年収を上げて、どんな生活がしたいの? それは今の会社で叶うの?」**と問うこと。
これがリーダーシップを発揮するということです。 タイタニック号の悲劇を繰り返さないためには、椅子の並びを気にする前に、まずブリッジ(操舵室)に行き、進路を確認しなければなりません。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- マネジメントは「効率(椅子並べ)」、リーダーシップは「方向性(航路決定)」である。
- 方向性が間違っている状態で効率化を進めるのは、沈む船で作業するのと同じく無意味である。
- 目の前の忙しさに逃げず、「これは本当に必要なことか?」と問う姿勢が大切。
最後に、今日からできるアクションプランです。
【Next Action】 今抱えている「やらなければいけないこと(ToDoリスト)」の中から、「これをやめても、実は大勢に影響がないもの」を1つ見つけて、思い切ってやめてみてください。(無意味な定例会議、惰性で続けている習慣など) 「椅子並べ」をやめること。それが、あなたの人生の舵取りを取り戻す第一歩です。
