「消費税は全額社会保障へ」という巧妙な嘘
「お金に色はない」という不都合な真実
「消費税を上げなければ、年金も医療も維持できない」。増税のたびに繰り返されるこの決まり文句は、国民を納得させるための非常に巧妙なレトリックであるといえる。介護や保育の現場で働く人々までもが、「自分たちの待遇改善のためには増税が必要だ」と信じ込まされているが、ここには大きな欺瞞がある。そもそも税収は一度国庫に入れば「お金の色」は消える。一般会計の中で混ざり合う以上、「消費税収分を社会保障に使っている」という説明は、「法人税を全額社会保障に使っている」と言うのと同じレベルの詭弁に過ぎない。この論理のすり替えに、私たちはまず気づく必要がある。
中小企業から大企業へ流れる「隠された補助金」
では、集められた消費税の一部は、実際にはどこへ消えているのか。その正体の一つが、輸出企業に対する還付金、事実上の「輸出補助金」である。消費税の仕組み上、輸出業者は国内での仕入れにかかった消費税分の還付を受けることができる。原稿にある指摘の通り、消費税収の少なからぬ割合が、この還付金として大企業に流れているのが現実だ。つまり、赤字でも納税を強いられる中小企業や、日々の生活に追われる消費者から搾り取った税金が、為替差益で過去最高益をあげるような輸出大企業の懐を潤すために移転されている。これこそが消費税の持つ、いびつな所得再分配の構造である。
政治家の無知と国際的なリスク
さらに深刻なのは、与党だけでなく野党の政治家さえも、この税制の本質を理解していないことだ。「食品だけ税率をゼロにする」といった表面的な議論に終始し、会計や税務の根本的な欠陥には目が向いていない。また、この輸出還付金の仕組みは、国際的な公正競争の観点からもリスクを孕んでいる。事実上の補助金として機能するこの制度は、トランプ政権などが掲げる保護主義的な関税政策とも真っ向から対立しかねない。国際情勢が変化する今こそ、この不条理なスキームを見直すべき絶好の機会といえるだろう。
思考停止をやめ、税の正体を見極める
「社会保障のため」という美辞麗句に騙され、思考停止してはならない。消費税は単なる財源調達手段ではなく、格差を助長し、特定の層を優遇する装置として機能してしまっている側面がある。政治家の言葉を鵜呑みにせず、お金の流れを冷静に見つめ直す知性を持つこと。それこそが、私たちの生活と、歪められた日本経済を立て直すための第一歩となるはずだ。
