高市総理「1月解散」は判断ミスか?予算と骨太の方針に迫る危機
異常な支持率乖離と1月解散の衝撃
高市総理大臣が、1月23日の通常国会冒頭で衆議院を解散する意向を固めたというニュースが飛び込んできた。この決断に対し、私は強い懸念を抱かざるを得ない。 まず注目すべきは、直近の世論調査に見る異常な数値だ。高市内閣の支持率は78.1%と依然として驚異的な高さを誇る一方で、自民党の政党支持率は29.7%と3割を切っている。内閣と党の支持率に40ポイント以上の開きがある状況など、前代未聞である。有権者は「高市総理個人」には期待しているが、「自民党」という組織は信頼していない。この乖離が選挙結果にどう響くか、過去に例がないだけに極めて不透明な賭けと言えるだろう。
暫定予算という経済的な空白
実務的な観点から見ても、このタイミングは悪手である。1月23日に解散すれば、選挙を経て国会が再開されるのはさらに先となる。当然、来年度予算の審議入りは3月にずれ込み、年度内(3月末)の予算成立は物理的に不可能となる。 つまり、国は「暫定予算」を組まざるを得なくなるのだ。経済対策や外交において一刻の猶予も許されないこの時期に、予算執行の空白期間を作ることは、国益を損なうリスクが高いと言わざるを得ない。
骨太の方針と財務省の影
さらに深刻な懸念は、5月以降に本格化する「骨太の方針2026」の議論への影響だ。この骨太の方針は、長年の懸案である「プライマリーバランス黒字化目標」の是非に決着をつける重要な場である。 もし選挙で自民党が議席を減らし、政権の政治力が弱まればどうなるか。政治的な混乱の隙を突いて、財務省が主導権を握ることは想像に難くない。高市総理を支持する層が期待していた積極財政への転換や、移民問題を含めた保守的な路線修正が、官僚主導によって骨抜きにされる恐れがある。本来であれば、6月に骨太の方針を閣議決定し、方向性を確定させてから解散に踏み切るべきであった。
組織票の消滅と選挙戦の現実
選挙戦術の面でも、自民党は極めて厳しい戦いを強いられるだろう。維新との選挙協力はなく、公明党・創価学会からの支援も見込めないからだ。これまで小選挙区で底上げされていた約2万票とも言われる組織票が消滅し、議員たちはゼロからボランティアを集めなければならない。 「高市支持」の保守層であっても、地元の自民党候補者(例えば石破派の議員など)に票を投じるとは限らないのだ。党内の調査では「単独過半数が狙える」という楽観論もあるようだが、それは内閣支持率のみに依存した皮算用に過ぎない。今回の早期解散は、政権基盤を強化するどころか、逆に不安定化させる重大な判断ミスとなる可能性が高いのではないだろうか。
