自己啓発

朝起きるのがつらいときに思い出したい言葉:マルクス・アウレリウス『自省録』に学ぶ生きる意義

「朝起きるのがつらい」──多くの人が一度は感じたことがあるでしょう。特に仕事や家事、育児など、日々の義務に追われているときには、布団から出ることすら苦痛に感じられることがあります。そんなときに思い出したいのが、古代ローマの哲学者・皇帝マルクス・アウレリウスの著書『自省録』にある一節です。

「朝起きるのがつらいときは、いつも思い出せ。お前がこの世に生まれたのは、他者と共に働くためなのだということを。眠ることは理性のない動物でもできる。ならば、起きて働くことこそ、人間にふさわしく、やりがいのある、自然にかなうことではないのか」

これは、ストア派哲学の根本にある「人間は理性を持つ存在であり、他者と協力して社会を築く義務がある」という考えを端的に表した言葉です。犬や猫が一日中ベッドで寝ていても私たちは気にしません。なぜなら、彼らには社会的な義務や役割がないからです。しかし私たち人間には、他者との関係性の中で果たすべき役割があります。それは神々に対するものではなく、人間同士のためのものです。

文明や国家は、過去の人々が長い時間をかけて築き上げてきた壮大な共同事業です。道路や学校、医療制度、インターネットに至るまで、すべては「誰か」が努力してつくりあげ、維持してきたものです。そして今を生きる私たちも、その大きな流れの中で役割を持っています。朝起きて仕事をすることは、単なる義務以上の意味を持っています。それは、先人たちから受け取った社会をさらに良くして次世代に渡すための一歩です。

もちろん、マルクス・アウレリウス自身も「起きるのが苦痛だ」と感じる朝があったと告白しています。皇帝という重責を担っていた彼ですらそうなのですから、私たちがつらいと感じるのも当然です。ただ彼が示してくれるのは、「その苦しみをどう乗り越えるか」という視点です。自分のためではなく「誰かのために働く」という意識が、最大のモチベーションになるのです。

現代社会においても、この哲学は有効です。仕事や家事が単なる「義務」に思えてしまうとき、視点を変えて「自分は誰かの役に立っている」と考えてみる。たとえば、あなたの仕事が誰かの生活を支えている、誰かの幸せにつながっていると感じられたら、同じ仕事でも意味が変わって見えてくるはずです。これは、カフェイン以上に強力な「心のエネルギー」になります。

また、こうした意識は自己肯定感を高め、ストレスを軽減する効果もあります。「自分は誰かに必要とされている」という感覚は、人間の幸福感に直結するからです。ストア派の哲学が今なお読み継がれているのは、こうした普遍的な知恵があるからでしょう。

もし明日の朝、再び起きるのがつらいと感じたら、マルクス・アウレリウスの言葉を思い出してみてください。あなたが寝床から出ることを、どこかで誰かが待っています。あなたの小さな一歩が、社会全体の大きな一歩につながっています。私たちは「助け合うために生まれてきた」という事実こそ、カフェインに勝る最強のエネルギー源です。

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taka
理学療法士TAKAが自分の臨床成果を少しでも高めるために、リハビリ・運動学・生理学・物理療法について学んだ内容を発信。合わせて趣味の読書や自己啓発等の内容の学びも自己満で発信するためのブログです。