高市政権の予算延期とガソリン補助金の罠
強引な国会運営が招いた必然の予算延期
高市政権が、新年度予算案の年度内成立を断念した。衆議院においてわずか13日という異例の短期間で審議を打ち切り、強行突破を図ったものの、与党が過半数を持たない参議院で野党の猛反発を受けた形である。最終的に暫定予算を組むことになったが、これは最初から予想できた事態といえる。十分な審議を尽くさず、数を頼みにした強引な国会運営が招いた、必然のしっぺ返しである。最初から暫定予算を視野に入れ、熟議を尽くす姿勢を示すべきだったのではないだろうか。
中東情勢の悪化と国内に迫る危機
目を外に向ければ、事態はさらに深刻である。中東情勢の緊迫化により、原油価格の高騰や物流の停滞が引き起こされている。特に懸念されるのが医療現場への影響である。プラスチック製品の原料となるナフサの供給不足により、カテーテルや人工透析の資材が不足し、数十万人の命に関わる事態すら危惧されている。憲法9条の存在によって自衛隊の直接的な紛争への関与は避けられているものの、国際社会の混乱は確実に日本国民の生活を脅かしているのである。
巨額のガソリン補助金に潜む将来の増税
国内の物価高、特にガソリン価格の高騰に対する政府の対応にも疑問が残る。現在、価格を抑えるために巨額の補助金が投入されており、その額は1ヶ月あたり約5000億円にものぼる。しかし、この場当たり的な支出は、将来的に国民への増税という形で跳ね返ってくる可能性が高い。それならば、リッターあたり約28円のガソリン税の「本則税率」を廃止する方が、はるかに合理的である。年間1.5兆円の減収で済む減税策のほうが、将来の負担を抑えられるはずだ。
求められるのは本質的な国民生活の保護
本来、責任ある積極財政というのであれば、国民の生活や命に関わる部分には躊躇なく財政出動を行うべきである。しかし、現在の政府の対応は、外交においても経済対策においても、場当たり的で本質的な解決から目を背けているように見えてならない。巨額の補助金で一時凌ぎをするのではなく、税制の根本的な見直しや、危機的状況を見据えたしたたかな外交交渉など、国民の生活を真に守るための現実的かつ実効性のある政策が、今こそ求められているのである。
