三権分立の危機と消費税ゼロの矛盾
予算審議の遅延と見え隠れする国会軽視
新年度予算案の年度内成立が困難となり、暫定予算が編成される事態となった。政府はこれを「不測の事態」と表現するが、果たしてそうだろうか。そもそも、与野党の合意もなく無理な日程で衆議院を通過させた時点で、参議院での審議時間が不足することは容易に想像できたはずである。最初から想定できた事態であるならば、もっと早い段階で暫定予算を準備し、国民生活に影響が出ないよう、国会の場でじっくりと議論を尽くすべきだったのではないだろうか。
三権分立を揺るがす謎の「国民会議」
さらに深刻な問題が、新たに設置された「社会保障国民会議」の存在である。予算委員会での安藤議員の追及により、この会議が行政府にも立法府にも属さない、極めて曖昧な位置づけであることが浮き彫りとなった。総理大臣が主催する会議に一部の国会議員や有識者が参加し、政府と政党が「共同開催」するという。このような法的根拠の乏しい得体の知れない会議体で国の重要課題を決めることは、権力の暴走を防ぐための三権分立の精神を根本から揺るがす異常な事態といえる。
食料品消費税ゼロに潜むまやかし
この不透明な国民会議で議論されるという「食料品の消費税ゼロ」についても、大きな矛盾が露呈している。政府は低所得者への負担軽減を目的と謳うが、消費税をゼロにしたからといって、店頭価格が正確に8パーセント下がる保証はどこにもない。実際、財務大臣でさえ「確実に価格が下がるというデータはない」と国会で認めている。減税であるはずなのに飲食業界から反対の声が上がるという歪な現象も起きており、実効性に乏しいまま議論が進められているのが現実である。
密室の議論ではなく本質的な国会審議を
本来、税金や社会保障といった国民の生活を直接左右する重要なテーマは、国民の代表が集まる国会の場で、透明性をもって堂々と議論されるべきである。自分たちに都合の良いメンバーだけを密室に集め、曖昧な会議体で方針を決定していく手法は、国会を骨抜きにする危険な兆候にほかならない。消費税の本質的な問題を含め、民主主義の根幹を守るためにも、私たちはこの強権的ともいえる政治手法に対し、厳しく監視の目を光らせていく必要がある。
