成長停止の真犯人。「人口減少」は言い訳に過ぎない
経済の「実力」はなぜ落ちたのか
日本経済の本当の実力を示す指標である「潜在成長率」。バブル期には4%近くあったこの数値は、現在0.5%前後まで著しく落ち込んでいる。その低迷の原因として、世間では「少子高齢化による人口減少」がまことしやかに語られている。しかし、実際のデータを紐解くと、労働力の低下幅はほぼ横ばいで推移しており、人口減少という要因だけではこの長期にわたる成長の停滞を到底説明できないのが現実である。
リストラが生み出した「生産性向上」の罠
次によく持ち出される言い訳が「日本の生産性が上がらないから」というものだ。しかし過去の推移を見ると、1998年の国内金融危機と2008年のリーマンショックという、二つの大きな危機の時だけ、皮肉にも生産性が上昇している。これは技術革新が起きたわけではなく、企業が生き残るために過酷なリストラを断行し、従業員数や労働時間を削ることで「見かけ上の数値」を良くしたに過ぎない。痛みを伴うコスト削減は総需要を縮小させ、結局は元の低い水準へと戻ってしまったのである。
経済成長を止めた真犯人「投資の枯渇」
人口減少でも生産性の低迷でもないのなら、一体何が日本の成長を止めたのか。その真犯人は「資本投入量」、つまり企業による「設備投資の激減」である。事実、潜在成長率の低下曲線は、企業の投資活動の減少と驚くほど見事に一致している。企業が将来に向けた投資を止め、ひたすら資金を内部にため込む「貯蓄超過」に陥った結果、国内に回るはずのお金が消滅してしまった。これが巨大な需要破壊を引き起こし、日本を長きにわたるデフレ経済の泥沼へと引きずり込んだ最大の要因である。
企業投資を呼び起こし、経済を再起動する
逆に言えば、企業が資金を調達して未来への投資を積極化させれば、総需要は拡大し、物価も健全な上昇へと転じていく。日本が長引くデフレから脱却し、経済を再び力強い成長軌道に乗せるための鍵はここにある。政府の経済政策に求められているのは、まさにこの冷え切った企業の投資活動を強力に後押しし、再びお金が巡る環境を整えることである。日本が真の再生を果たせるかは、企業を「貯蓄」から「投資」へと向かわせることができるかにかかっているといえる。
