政治・経済

日本版トラスショックは起きない。データが示す真実

taka

インフレと暴落の恐怖「トラスショック」

積極財政の議論で必ず持ち出されるのが、「日本版トラスショック」への懸念だ。2022年、イギリスのトラス政権が大規模な減税策を打ち出し、通貨・国債・株式が軒並み急落する「トリプル安」を招いて政権が49日で崩壊した事件である。 現在の政権が掲げる積極財政も、日本に破滅的インフレと市場の暴落を招くのではないかと危惧されている。しかし、マクロ経済のデータを見れば、その心配は完全に杞憂であることがわかる。

異常なインフレを招いた欧米の「やり過ぎ」

なぜ欧米で歴史的なインフレが起きたのか。社会全体のお金を使う力を示す「ネットの国内資金需要」を見れば一目瞭然である。 通常マイナス5%前後のアメリカは、コロナ禍の巨額な財政出動でマイナス16%という異常値まで急拡大した。イギリスもマイナス15%に達し、社会に過剰なお金が溢れかえった。この「やり過ぎ」とも言える極端な資金供給こそが、アメリカの9.1%に達した激しいインフレや、イギリスのトラスショックを生み出した根本的な原因である。

日本の財政出動は「適温」。暴落の条件は無い

対して、同じ時期の日本はどうだったか。コロナ禍の財政出動で日本の資金需要もマイナスへと拡大したが、その規模は最大でもマイナス5%程度にとどまった。 これは、長年冷え切っていた日本経済を適度に温め、膨らませるためにはまさに「ちょうど良い具合」の規模である。イギリスのマイナス15%、アメリカのマイナス16%とは比較にならないほど抑制されており、市場の混乱を引き起こすような資金の過剰な膨張は、日本では全く起きていないのだ。

冷静なデータに基づいた経済再生の道を

さらに決定的なのは、現在の日本の足元の状況である。一時的にマイナス5%まで資金需要を引き上げられたものの、その後は再びお金を使う力が弱まり、ゼロの水準へと逆戻りしつつある。 社会全体が資金を使わなくなりつつある冷え込んだ日本において、過剰な資金供給が引き起こすトラスショックなど起こり得るはずがない。欧米の極端な失敗例を無批判に当てはめ、必要な投資をためらうことこそが真の危機である。冷静なデータに基づき、日本は今こそ恐れずに成長への投資を進めるべき時といえる。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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