消費税の残酷な真実。中小企業を壊す「赤字課税」
国民の声は届いているのか
財務省が行った意見募集には、約3万6000件もの国民の声が寄せられた。 その多くが消費税の減税や廃止、大企業への輸出還付金に対する疑問であったと推測される。 しかし、政府は「募集したのは租税特別措置と補助金に関する意見」だとして、消費税に関する切実な声を枠組み外として切り捨てる姿勢を崩していない。 これでは、国民の苦境を直視しているとは到底言えないだろう。
赤字でも容赦ない「直接税」の正体
財務省は「消費税は消費者が負担する間接税」と説明し続けている。 だが、その実態は価格転嫁できない事業者に課せられた「直接税」に等しい。 消費税法は、利益の有無にかかわらず、売上からインボイスのある経費を引いた差額に10%の納税を義務付けている。 つまり、物価高でコストが膨れ上がり赤字に陥った企業であっても、消費税の納税は容赦なく迫ってくるのである。 実際、消費税の新規滞納額は年々増加し、令和6年度には5000億円を突破した。 これは事業者が税金を使い込んでいるからではなく、赤字課税に耐えきれない中小企業が限界を迎えている証拠である。
賃上げを阻む「妨害税」の現実
さらに深刻なのは、消費税が「賃上げ妨害税」として機能している点だ。 法人税であれば、賃上げによって利益が減れば納税額も減るため、賃上げに協力的な税制といえる。 しかし消費税の場合、いくら賃上げをして従業員に還元しても、納税額は全く変わらない。 事業者は賃上げの前に消費税の納税資金を確保しなければならず、結果として賃上げの意欲を根こそぎ奪っているのだ。 その上、政府は毎月納付への変更すら検討しているという。 資金繰りに苦しむ企業から毎月税を吸い上げれば、倒産が加速するのは火を見るより明らかである。
税制の根本的見直しを求めて
輸出大企業が還付金で潤う一方で、赤字の中小企業が血を流して納税する。 このような歪んだ構造を放置したまま、中間層の再生や経済の好循環など実現できるはずがない。 消費税は間接税であるという建前を捨て、現場で起きている残酷な現実に目を向けるべき時が来ている。 国民の声を誠実に受け止め、税制の抜本的な見直しに踏み出すことこそが、今の日本に求められている真の成長戦略といえる。
