「国の借金」に騙されるな
テレビが隠す1200兆円の嘘
「日本の国の借金は1200兆円、国民一人あたり1000万円です」というフレーズを、私たちは何度も耳にしてきた。これを聞くと、自分の家計のように「増税も仕方ない」と納得してしまいがちだ。
しかし、ここに巧妙な罠がある。「国の借金」という言葉自体が誤訳なのだ。正確には、これは「政府の負債」である。そして誰かの負債は、必ず別の誰かの「資産」になる。政府が国債を発行して使ったお金は、巡り巡って私たち民間の懐に入っている。つまり、政府の負債1200兆円は、民間部門の資産1200兆円なのだ。
鏡写しのシーソーゲーム
マクロ経済には、政府が赤字を出せば民間は黒字になり、政府が黒字を出せば民間が赤字になるという絶対のルールがある。これは思想ではなく、会計の必然だ。
バブル崩壊後、民間企業が借金返済を急いで支出を絞ったとき、その穴を埋めたのが政府の赤字拡大だった。もし財務省の望む通りに政府が支出を削り続けていたら、経済は完全に崩壊し、失業率は10%を超えていただろう。政府の赤字こそが、日本経済の人工呼吸器だったのである。
節約という美徳が国を滅ぼす
日本人は「節約」を美徳とするが、全員が一斉に財布を閉じると、誰も買えない、誰も売れないというデフレ・スパイラルが発生する。これが、個人の合理的な行動が全体に最悪の結果をもたらす「合成の誤謬(ごびゅう)」だ。
民間が萎縮しているとき、逆の動きをして需要を作り出せるのは政府しかいない。家計の節約感覚をそのまま国家財政に当てはめる「家計の主婦の経済学」こそが、この国を30年の泥沼に沈めた真犯人なのである。
目覚めた市民への第一歩
「国の借金」を恐れる必要はない。それは政府が国民に支払いを約束した金額だ。不景気のときこそ、政府は家計と逆に動いて支出を増やさなければならない。
この会計のルールを理解したとき、あなたの経済観は根底から変わる。私たちは「借金を負わされた債務者」ではなく、政府に資金を貸し付けている「債権者」なのだ。
