自分の抱いた印象を検証する ― エピクテトスが教える「信じよ、だが確かめよ」の習慣
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私たちは日々、事実そのものよりも「解釈」に振り回されています。誰かに悪口を言われた、トラブルが起きた、大切な人が病気になった…。その瞬間、頭の中で「自分は傷つけられた」「もうダメだ」と考えを膨らませてしまうのです。しかし古代ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは『自省録』でこう語っています。
「第一印象で感じたこと以外、何も自分に語るな」
つまり、余計な物語や解釈を加えず、事実を事実としてだけ受け止めよ、という教えです。
事実と解釈を分けて考えることで、過剰な不安や怒りから自由になれます。
現代社会では「クリティカルシンキング(批判的思考)」が重視されます。物事を額面どおりに受け止めず、疑い、分析する力は確かに重要です。しかし、ときにその姿勢が「余計な不安」や「過剰な解釈」を生み出すこともあります。
そこで役立つのが、ストア派的な「事実にとどまる」態度です。哲学者ニーチェもストア派について「表面的である」と評しました。これは否定ではなく、「余計な深読みをしない」という強さを意味します。
マルクス・アウレリウスの言葉は、私たちに「事実と解釈を切り分けよ」と教えています。心を乱すのは出来事そのものではなく、それに付け加える自分の解釈です。今日一日、事実だけを見る練習をしてみましょう。それが、心を穏やかに保つ第一歩となります。