高市政権の補正予算と財務省の影
期待を裏切った補正予算
高市内閣が2026年度の補正予算案を閣議決定する。一般会計総額は3兆1,135億円。本来であれば、政権が掲げる「責任ある積極財政」や「官民連携による投資」を具現化する大規模な予算が期待されていた。しかし蓋を開けてみれば、その中身は緊迫するイラン戦争への対処、つまり中東情勢に対応するための予備費や燃料・エネルギー補助金の延長に絞られた。経済を根本から底上げするための前向きな投資予算は、ほぼ見送られた形である。
日本経済を襲う非常事態
現在の日本経済は、極めて危うい局面に立たされている。企業の資金需要がマイナス、つまり新たな投資をせず借金返済を優先するなかで、政府の財政出動も小さすぎる。本来なら30兆円規模の補正予算を組み、政権の目玉である「戦略17分野」へ大胆に投資すべきタイミングだった。それにもかかわらず、今回の予算規模は必要最小限に留まり、このまま追加の対策がなければ、財政支出が急減して景気が失速する「財政の崖」に直面しかねない。
財務省主権という高い壁
今回の緊縮気味な予算編成を見る限り、高市政権であっても財務省の敷いたシナリオに抗えていない現実が浮き彫りになっている。食料品の消費税率引き下げや、給付付き税額控除といった国民が期待する政策も、財務省の主導権のもとで骨抜きにされる懸念が拭えない。初の女性総理として期待を集める高市首相であっても、官僚機構の壁を崩せなければ、自民党政治への信頼は今度こそ完全に失墜することになるだろう。
正しい財政観が政治を変える
結局のところ、いくらリーダーの志が高くとも、正しい財政観がなければ政治は機能しない。国債を発行してでも未来へ投資するという決断ができなければ、緊縮財政の呪縛からは逃れられない。秋に次なる補正予算が組まれるかどうかが、この政権の真の試金石となる。私たちは目先の補助金だけでなく、政府が本当に未来への投資を行う意思があるのか、その財政姿勢を冷徹に見極める必要がある。
