「惜福(しゃくふく)」の心が幸福を呼ぶ|幸田露伴『努力論』に学ぶ、運を長持ちさせる生き方
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政府の支出などによって社会に出回るお金、すなわち民間預金が増えると、物価が上がる要因になる。しかし、物価の変動は単純にお金の量だけで決まるわけではない。本質的な決定要素は、社会全体の「需要」と「供給」のバランスである。お金が増えることで人々の購買力が変化し、それがモノを生産する力とどう噛み合うかによって、物価の動きは形作られていく。
分かりやすい例で考えてみよう。1日に100個のパンを焼ける店があるとする。町の人々が持つお金が合計10万円であれば、パン1個の価格は1000円が妥当だ。ここで、人々の手元のお金が2倍の20万円に増えたとする。人々は「もっと買おう」とするが、店の供給能力は100個のままだ。欲しい人が殺到すれば、店は価格を2000円に引き上げる。これが、需要が供給を上回ることで物価が上がる仕組みである。
このように需要の拡大によって起きる物価上昇を「デマンド・プル・インフレ」と呼ぶ。これは社会にとって「良いインフレ」とされる。なぜなら、モノがよく売れるようになれば、企業は生産を増やすために設備投資を行い、新しく人を雇うからだ。結果として企業の利益が増え、労働者の給料も上がっていく。物価上昇を上回るペースで所得が増え、さらに消費が活発になるという経済の好循環が生まれる。
お金が増えすぎると、ハイパーインフレになるのではないかと恐れる声もある。しかし、現在の日本でその心配は不要だ。長年のデフレにより、日本は「供給力」に対して「需要」が慢性的に不足している。モノが余っている状態では、政府が支出を増やして民間にお金を回しても、すぐに過度な物価高にはならない。今の日本に必要なのは、むしろ積極的な財政支出で需要を作り出し、年2〜4%の緩やかなインフレへと導くことである。