私たちは何かがうまくいかないとき、つい「誰かのせいだ」「環境が悪い」と外に原因を求めてしまいます。しかし古代ストア派の哲学者エピクテトスは『語録』でこう教えています。
「われわれが自ら理性的な判断を拒み損なうことはあっても、外部のものがわれわれの理性的判断を妨げ阻むことはできない」
つまり、私たちの心を乱すのは出来事そのものではなく、それをどう判断するかという自分自身の態度なのです。
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責任を外に求めない練習
エピクテトスの教えを実践するには、まず「他人や物事のせいにしない」練習から始めるのが効果的です。
- 部下が指示を誤解した → 伝え方を工夫できなかった自分に責任がある。
- 誰かに無礼なことを言われた → それをどう受け取るかは自分の感受性次第。
- 株価が大暴落した → 大きなリスクを取った自分の判断の結果。
こうして一つひとつ、自分の判断と責任に立ち返ることが、心を鍛える訓練になります。
小さな時間から始める
「一日中、誰も何も責めない」というのは難しいかもしれません。そこで次のステップを試してみましょう。
- まず 10分間、他人や環境のせいにせず過ごしてみる。
- 慣れたら 1時間、さらに 1日と延ばしていく。
短い時間でも「自分の責任に引き受ける」ことを意識すれば、それだけで生きる技は向上します。
主体的に生きる力
責任を自分に引き受けると、次のような変化が訪れます。
- 不満や怒りに振り回されなくなる
- 他人や環境に支配されず、自分の選択に集中できる
- 自分の人生を主体的にコントロールできる感覚が得られる
これは「被害者意識」を手放すことでもあります。外に敵を探す代わりに、自分の判断を磨き続ける――それが、自由で揺るがない人生につながります。
まとめ
エピクテトスが教えるのは、「心を乱す原因は外部ではなく自分自身の判断にある」ということです。他人や環境を責める代わりに、自分の理性的な判断に責任を持つこと。それを実践できた分だけ、私たちはより強く、主体的に生きられるようになるのです。