悪気は伝染する:幸田露伴『努力論』に学ぶ、人の気が周囲に与える“共鳴の力”
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マルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう述べています。
「人間がほかの人間から切り離されているのを見つけるよりは、土に属するものが大地から隔てられているのを見つけるほうが容易であろう。」
つまり、人間同士の結びつきは自然法則のように避けられないものだということです。
当時の哲人たちはニュートン物理学を知りませんでしたが、物体が必ず地面に引き寄せられることは理解していました。マルクス・アウレリウスは、この自然の摂理を人間関係にたとえ、「私たちの結びつきは重力よりも強い」と表現したのです。
哲学や自己探求に没頭すると、しばしば人間嫌いになったり、他者の欠点ばかりが目についたりします。また、人生の苦境に立たされたとき、世界から切り離されたように感じることもあります。
しかし、アリストテレスが「人間は社会的動物である」と言ったように、私たちは本質的に他者とのつながりを必要とする存在です。孤立感を覚えることはあっても、人間同士の関係性を完全に断つことはできません。
これらはただの「善い行い」ではなく、人間らしさそのものです。
助け合いを拒むのは、自然に逆らうことと同じ。もし私たちが自己中心的にふるまえば、一時的には利益を得ても、やがて孤立や不信を招くでしょう。反対に、思いやりを示せば、相手も思いやりを返してくれる可能性が高まります。
どんなに小さな行動でも、それは「人間は助け合うために生まれてきた」という真理を実践することにつながります。
マルクス・アウレリウスの言葉が教えてくれるのは、私たちが社会的存在として互いに助け合うことは避けられない本質だということです。
今日、誰かにちょっとした思いやりを示してみましょう。それはあなた自身をも支え、人間としての本質を輝かせる行為となるはずです。