ガソリン税の矛盾:物価高騰と消えた道路財源
実質賃金のプラス化と束の間の休息
2026年1月、日本の実質賃金は13カ月ぶりにプラスへと転じた。名目賃金が上昇したことに加え、暫定税率の廃止によるエネルギー価格の下落や、食料品の価格抑制によって物価上昇の勢いが鈍化したことが主な要因である。長らく物価高の苦境に立たされてきた国民生活にとって、ようやく一筋の光明が見えたかのように思われた。しかし、この安息は極めて短いもので終わろうとしている。
中東情勢の悪化とガソリンの再高騰
イラン情勢の緊迫化とホルムズ海峡の事実上の封鎖により、原油価格が再び急騰しているからだ。元売各社の卸値が一気に跳ね上がり、一部の地域ではレギュラーガソリンが1リットル200円を超える事態となっている。これを受け、高市総理は石油備蓄の放出と補助金の再開を発表し、全国平均を170円程度に抑える方針を示した。しかし、かつての暫定税率廃止の効果は完全に吹き飛び、資源インフレの波が容赦なく押し寄せているといえる。
補助金頼みからガソリン税廃止へ
政府が目標とする170円という価格設定も、依然として国民にとっては重い負担である。ここで見直すべきは、複雑な手続きや莫大な事務コストを伴う補助金制度を漫然と繰り返すことではない。よりシンプルで実効性のある対策、すなわち「ガソリン税そのものの廃止」である。税を完全に撤廃すれば即座に1リットルあたり約25円の値下げが実現でき、市場への介入に伴う無駄なコストも回避できる。
目的を失った税を徴収し続ける異常性
そもそもガソリン税とは、道路を建設・整備するための「道路特定財源」として導入された目的税であった。しかし、2008年の法改正によって一般会計に組み込まれ、その本来の目的は失われている。道路の建設という大義名分が消滅したにもかかわらず、かつての目的税だけが当たり前のように徴収され続けている現状は、冷静に考えて異常といわざるを得ない。国民の生活と国家の経済基盤を守るためにも、今こそ不合理なガソリン税を廃止するという抜本的な決断が求められている。
