失敗を引きずってしまう人へ。間違いを「ただの教訓」に変えて、心を軽くする方法
「なんであの人は、あんなミスをしたんだろう」 「自分は悪くない、状況が悪かっただけだ」
仕事でトラブルが起きた時、ついこんなふうに**「他人を責める」か「自分を守る(正当化)」**か、どちらかの反応をしてしまっていませんか?
その気持ち、痛いほどわかります。自分の非を認めるのは、まるで負けを認めるようで怖いですよね。
しかし、理学療法士としてリハビリを見ていると、はっきりとした傾向があります。 「転びそうになった時、素直に体勢を立て直す人」は怪我をしませんが、「転びそうなのに無理やりごまかそうとする人」は大怪我をします。
この記事では、コヴィー博士の言葉をヒントに、**人生の大怪我を防ぎ、ピンチをチャンスに変える「失敗の作法」**について解説します。
結論をお伝えします。 間違いそのものは問題ではありません。 致命傷になるのは、その後の**「隠蔽」と「言い訳」**なのです。
「指差し」をやめると人生が変わる
今回のテーマは、とても短く、そして鋭い言葉です。
他者の欠点を責めない。自分の欠点を正当化しない。
トラブルが起きた時、私たちは反射的に指を差したくなります。 「あいつが悪い!(他者への指差し)」 「俺は悪くない!(自分を守るガード)」
しかし、これには重大な副作用があります。
正当化は「傷口を広げる」行為
自分のミスを指摘された時、「でも、だって」と言い訳(正当化)をするのは、傷口に塩を塗るようなものです。
- ミスの事実(小さな傷): 「書類に誤字があった」
- 正当化(傷の悪化): 「忙しかったから仕方ない」「誰もチェックしてくれなかった」
ミス単体なら「次から気をつけます」で済みますが、言い訳をした瞬間、相手の感情は「怒り」から「失望」に変わります。 「こいつは反省していないな」と思われ、信頼という資産を一気に失ってしまうのです。
間違いは「即座に」処理する
コヴィー博士は、失敗した後のアクションについてこう述べています。
間違いを犯したら、すぐに認め、正し、そこから教訓を得る。
ここでのキーワードは**「すぐに」**です。
失敗の「ボヤ」を大火事にしない
ミスをした瞬間というのは、まだ**「ボヤ(小火)」**の状態です。 この時点で「あ、火が出ました! すみません!」と認めて水をかければ(修正すれば)、被害は最小限で済みます。
しかし、「火なんて出てないよ」「放火犯は誰だ」と正当化して放置すると、火は燃え広がり、建物全体(プロジェクトや人間関係)を焼き尽くす**「大火事」**になります。
リハビリでも同じです。 歩行中にバランスを崩した時、「おっと!」とすぐに修正すれば転びません。 しかし、グラついているのを認めずに無理やり進もうとすると、派手に転倒して骨折します。
「転びそうになったら、すぐに認めて止まる」。これが一番の安全策なのです。
失敗を「授業料」に変える
最後に重要なのが**「そこから教訓を得る」**というステップです。
ただ謝って終わりではありません。 「なぜ間違えたのか?」「次はどうすれば防げるか?」を考えることで、その失敗はただの損失から、将来への**「投資(授業料)」**に変わります。
- ダメな例: 失敗する → 隠す → 忘れる → また同じ失敗をする(赤字)
- 良い例: 失敗する → 認める → 仕組みを変える → 二度と失敗しない(黒字)
「失敗したこと」を悔やむのではなく、「失敗から何も学ばないこと」を恐れてください。 素直に認めて学びに変える人だけが、失敗するたびに賢く、強くなっていけるのです。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 他人の欠点を責めたり、自分を正当化したりするのは、エネルギーの無駄遣いである。
- 間違いは「隠す」と大きくなる。「すぐに認めて直す」のが被害を最小にするコツ。
- 失敗をただのミスで終わらせず、教訓を得ることで「成長の糧」に変えることができる。
完璧な人間などいません。 偉大な人とは、失敗しない人ではなく、失敗した時のリカバリーが誰よりも早い人のことです。
Next Action:魔法の言葉「ごめんなさい、次はこうします」
今日、もし小さなミスをしたり、指摘を受けたりしたら、食い気味にこう言ってみてください。
「申し訳ありません。私の確認不足です。次はチェックリストを使って防ぎます」
「でも」を飲み込み、この言葉を言えた瞬間、あなたは自己保身の殻を破り、信頼されるリーダーへの階段を一つ登ったことになります。
