自己啓発

思春期は子どもにとっての試練|アドラー心理学で見る成長の本質

taka

思春期――子どもから大人へと移行するこの時期は、多くの親や教育者にとって大きな関心事です。反抗的な態度、情緒の揺れ、友人関係や学業への不安。まさに「危険が多い時期」と言えるでしょう。

心理学者アルフレッド・アドラーは、この時期をどう捉えていたのでしょうか。『人生の意味の心理学』の中で彼は、次のように述べています。

思春期にはたくさんの危険がある。しかし思春期に人のライフスタイルが変わることはない。
思春期は、新しい環境と試練を子どもに突きつけているにすぎない。

つまり、思春期の変化は「人格そのものが変わる」のではなく、「もともと持っているライフスタイルが試される時期」だというのです。


思春期の「危険」とは何か

思春期に直面する危険とは、単に反抗や問題行動のことではありません。

  • 学業や進路に関するプレッシャー
  • 仲間関係や恋愛による葛藤
  • 自立への欲求と親への依存の間で揺れる心
  • 自分の価値や存在意義を見失う不安

これらの課題は、大人への移行過程で誰もが経験するものです。大切なのは、この時期に現れる行動や感情は、ライフスタイルの表れにすぎないという点です。


ライフスタイルは変わらない

アドラー心理学では、人は幼少期に形成した「ライフスタイル(物事の受け取り方や意味づけのクセ)」を持ち続けると考えられています。

思春期になると、新しい環境――部活動、進学、恋愛、社会との接触――が次々とやってきます。そこで表れるのは、子どもがもともと持っていたライフスタイルです。

  • 勇気を持ち挑戦するタイプの子は、困難に立ち向かおうとする
  • 臆病な傾向の子は、回避や逃避を選びやすい
  • 周囲との協力を重んじる子は、仲間と支え合いながら進もうとする

つまり、思春期は「ライフスタイルが変わる時期」ではなく、「それが試され、強調される時期」なのです。


親や教師にできるサポート

では、この時期の子どもに大人はどう関わればよいのでしょうか。

  1. 過剰に干渉せず、見守る
    思春期は自立のために反抗する時期でもあります。大人が過度に管理すると、かえって関係が悪化します。
  2. 安心できる居場所をつくる
    学校や友人関係で悩んでも、家庭が安心の場であれば子どもは再び挑戦できます。
  3. ライフスタイルを理解する
    「この子はどんな意味づけをして世界を見ているのか」を観察し、対話の中で受け止めていくことが大切です。
  4. 勇気づけを意識する
    アドラー心理学の核心である「勇気づけ」は、思春期の子どもに特に必要です。小さな成功を認め、挑戦を後押ししましょう。

大人自身にも訪れる「試練」

思春期のテーマは、子どもだけのものではありません。大人もまた、転職・結婚・子育て・老後など、人生の各段階で新しい試練に直面します。

そのときに表れるのは、やはり自分のライフスタイルです。勇気を持つか、逃避するか。他者と協力するか、孤立するか。

つまり、思春期の子どもを理解することは、自分自身の人生を見つめ直すきっかけにもなるのです。


まとめ

思春期は子どもにとって多くの危険を含む試練の時期ですが、それは人格が変わる瞬間ではありません。アドラー心理学によれば、幼少期に形成されたライフスタイルが、新しい環境の中で試される時期なのです。

親や教師ができるのは、子どものライフスタイルを理解し、勇気づけによって支えること。そして、大人自身もまた「人生の試練」にどう向き合うかを考えることです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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