AI分析が導いた“トップ5%社員の口癖”は、別の本ではNGワードだった件
AI分析が導いた“魔法のフレーズ”、別の本では完全否定されていた
前のコラムでは「AIに仕事を奪われる不安」を煽る系ビジネス書を扱った。
そんな中、AIを“敵”にするのではなく、“味方”にした本もある。
それが『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』である。
ビジネス書界はAIと非常に相性が良い。
**「AIに仕事を奪われるぞ」**と書けば煽れるし、
**「AI分析でわかった」**と書けば説得力が跳ね上がる。
都合よく両面で使えるので、これからビジネス書を書く人はとりあえずAIと書いておけばいい(本当に)。
では、その“AI分析”で明らかになった驚きの事実はこちら。
トップ5%社員の最も多い発言は「今ちょっといい?」
……本当なのだろうか。
僕がビジネス書100冊を読み続けながら一番多く発したのは
「本当かなぁ」
である。AI分析などいらない。
「今ちょっといい?」は最強のコミュニケーションらしい(AI調べ)
本によれば、トップ5%社員は
「カジュアルなコミュニケーションを大切にしている」
らしく、特に用事がなくても
「今ちょっといい?」
と言って関係を温めておくらしい。
なるほど。
それなら確かに職場でうまくやっていけそうではある。
ただし問題は、ここで終わらなかった。
そして別のベストセラーでは「今ちょっといい?」がNG扱い
登場するのがこちら。
『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』。
この本は、
「自覚なく相手をイラッとさせる口癖を改善しよう」
という趣旨だが、そこでNGワードとして挙がっていたのが……
ちょっといいですか?
まさかの完全否定。
AI分析による“トップ5%の必殺ワード”が、
言いかえ図鑑では「よけいなひと言」認定。
なぜNGなのか? →「ちょっと」の解釈が人それぞれだから
著者によれば、
- 3分を「ちょっと」と思う人
- 30分を「ちょっと」と思う人
- なんなら「食事でもしながら話しますか?」と思う人までいる
らしい。
いや、そんな人いる???
僕は人生で一度も
「今ちょっといい?」→「じゃあランチ行きましょうか」
と言われたことがない。
とはいえ、『言いかえ図鑑』に書いてある以上、
世の中にはそういう「ちょっと=ディナー」族が存在するのだろう。
推奨される言いかえはこちら。
「10分ほどお時間ありますか?」
なるほど。時間を明示しろということらしい。
2つのビジネス書を合体すると、とんでもない結論が導ける
ここまでの主張を整理しよう。
- トップ5%社員の最も多い発言は「今ちょっといい?」(AI分析)
- 「今ちょっといい?」は相手をイラッとさせるNGワード(言いかえ図鑑)
つまり三段論法を使えばこうなる。
トップ5%社員は相手をイラッとさせている。
これが今回の“AI vs 言いかえ図鑑”から導かれる
(まったく嬉しくない)公式結論である。
結局、ビジネス書を読んだ僕の口癖は「本当かなぁ」だった
ビジネス書100冊を読むと、だいたい全てが矛盾している。
今回の「今ちょっといい?」問題だけでなく、
ほぼどのテーマでも真逆の主張が見つかる。
つまり、
ビジネス書の世界における真理は「本当かなぁ」である。
AI分析でも言いかえ図鑑でもなく、
100冊読み続けて人力で導き出した確かな結論だ。
