政治・経済

AOCとMMTが描く新グリーン・ニューディール

taka

若き政治家が示した新しい経済像

MMTという理論に世界的な注目が集まるきっかけをつくったのは、二人の米国人女性である。ひとりは、史上最年少で米国下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス、通称AOCだ。
彼女はヒスパニック系の出身で、かつてはバーテンダーとして働いていた。労働者階級の20代の女性が、大物議員クラウリーを破って議席を獲得したことは、米国社会に強烈なインパクトを与えた。
SNSを活用した情報発信力も特徴で、TwitterやInstagramには数百万人規模のフォロワーが集う。その存在感は、若い世代の政治参加の象徴といえる。

MMTと結びつく政策の背景

AOCを語るうえで避けて通れないのが、彼女が掲げる政策の財源議論である。自身を「民主社会主義者」と位置づける彼女は、国民皆保険制度の導入や「グリーン・ニューディール政策」を主要な公約として打ち出した。
グリーン・ニューディール政策とは、大恐慌期に実施されたニューディール政策を現代的な課題に合わせて再構築した構想である。環境問題や格差の拡大に向け、温室効果ガスの排出ゼロ、スマートグリッド化による送電網の更新などが柱となる。
だが、これらを実現するためには巨額の資金が必要とされ、10年間で7兆ドルとも、30兆ドルとも推定されている。

財源なき理想か、理論に基づく構想か

現在、米国の財政赤字は増加傾向にあり、直近では1兆ドル規模に達している。こうした状況で、さらに大規模な政策を進められるのかという疑問は当然生まれる。
ここでAOCが頼りとするのがMMTの視点である。政府の赤字支出を「必要な投資」として捉え、財政黒字こそが経済の停滞を招くという考え方だ。
AOCはメディアの取材に対し、必要な財源は富裕層増税など複数の手段で確保可能だと述べつつ、「MMTを主要な議論に据える必要がある」と語る。大胆な政策を肯定する背景には、財政をめぐる常識を問い直す理論が存在している。

若い政治家を支えたもう一人の女性

AOCがこの考え方を強く打ち出す背後には、もうひとりの重要な人物がいる。MMTの中心的研究者であり、経済学者のステファニー・ケルトンだ。
彼女はニューヨーク州立大学の教授であり、2016年の大統領選ではバーニー・サンダース上院議員の経済ブレーンとしても活動した。若い世代から熱烈な支持を受けたサンダース陣営において、ケルトンは財政政策の基盤となる考え方を提供した。
AOCとケルトン。この二人の女性によってMMTは政治の最前線へ押し出され、世界規模の議論を巻き起こす理論へと変貌したといえる。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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