自己啓発

アドバイスは逆効果?コヴィーに学ぶ「聴く力」が人間関係を劇的に変える理由

taka

家族や友人から悩みを相談されたとき、つい「それはこうすればいいんだよ」「私ならこうするけどな」と、即座にアドバイスをしていませんか?

相手のためを思って言ったはずなのに、なぜか相手は黙り込んだり、「もういい」と心を閉ざしてしまったりする……。

実は、世界的な名著『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーは、**「アドバイスをするのは簡単だが、話を聴くには精神的な強さが要る」**と断言しています。

私たちは「話すこと」や「答えること」が能力だと思いがちですが、実は**「黙って理解に徹すること」**こそが、最も高度な知性と人格を必要とする行為なのです。

私は理学療法士として働いていますが、患者様の治療でも「痛い場所」だけでなく「痛みの背景にある不安」を聴き取れなければ、どんなに良いリハビリ計画(アドバイス)も失敗します。

この記事では、なぜ安易なアドバイスが関係を壊すのか、そして本当の信頼を築くための「聴く姿勢」について解説します。

アドバイスは「逃げ」かもしれない

コヴィー博士の言葉には、ドキッとするような指摘が含まれています。

感情のままに動き、相手のことは考えずにそれらしいアドバイスをするのは簡単である。しかしそれでは確かな人間関係は築けない。

「悩んでいるなら解決策を教えよう」というのは、一見親切に見えます。 しかし、深く話を聴くという労力を避け、自分の経験則だけで「それらしい答え」を出して片付けようとする――それはある種、**「相手の心に深く寄り添うことからの逃避」**でもあるのです。

医者に例えるとわかりやすい

あなたが腹痛で病院に行ったとします。 医者があなたのお腹に触りもせず、話も聞かず、「ああ、それは胃薬を飲めば治りますよ。次の方どうぞ」と言ったらどう思いますか?

「いや、もっとちゃんと診てよ!」「原因は別かもしれないでしょ!」と不信感を抱くはずです。

人間関係における「即座のアドバイス」は、これと同じことをしています。 「診断(理解)」する前に「処方箋(アドバイス)」を出されても、相手は信頼してくれません。

「聴く」ために必要なのはテクニックではなく「人格」

「ふんふん、なるほど」と相槌を打つテクニック(オウム返しなど)だけを学んでも、人の話は聴けません。コヴィー博士はこう言います。

高い人格が要求される。つまり、人格ができていなければならないのだ。

なぜ「聴く」のに人格が必要なのでしょうか? それは、**「自分の言いたいことを我慢し、自分とは違う相手の世界を尊重する」**という、極めて忍耐強い精神力が必要だからです。

  • 未熟な人: 「俺の話を聞け!」「俺が正解を知っている!」(自己中心的)
  • 人格者: 「あなたの世界を教えてほしい」「あなたの痛みを知りたい」(他者尊重的)

理学療法士が実践する「待つ勇気」

リハビリの現場でも、患者さんが愚痴や不安を吐き出しているとき、私たちは決して話を遮りません。 「でもリハビリしないと治りませんよ」と正論を言うのは簡単です。しかし、患者さんが「自分の辛さをわかってくれた」と感じるまでは、こちらの正論は届かないのです。

沈黙に耐え、相手が話し終えるのを待つ。これには確かに「精神的な強さ」が求められます。

今日から「口を閉じる」練習を

有意義な関係を築きたいなら、解決策を急いではいけません。

  1. 判断を保留する: 「それは間違っている」「それは正しい」とジャッジしない。
  2. 感情移入する: 「もし自分が相手の立場なら、どう感じるだろう?」と想像する。

相手は解決策が欲しいのではなく、まずは**「心理的な空気(理解されたという安心感)」**を求めています。 その空気を十分に与えられたとき初めて、相手は自ら解決策を見つけ出すか、あなたのアドバイスを素直に求めてくるようになります。


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まとめ・アクションプラン

今回の記事の要点をまとめます。

  1. 安易なアドバイスは、相手を理解することから逃げる「簡単な行為」である。
  2. 本当に話を聴くには、自分の自我を抑え、相手を受け入れる「精神的な強さ(人格)」が必要。
  3. 信頼関係を築く順序は、「まず理解し(聴く)、その後に理解される(話す)」である。

Next Action:3秒ルールを試そう

明日、誰かと話すときに**「相手が話し終わってから、3秒数えてから口を開く」**というルールを試してみてください。

「すぐに何か言わなきゃ」という焦りを手放し、その3秒間で「相手は今、どんな気持ちなんだろう?」と考えてみるのです。 その少しの「間(ま)」が、あなたの会話の質を劇的に変えるはずです。

「聴く力」についてさらに深く学びたい方は、コミュニケーションのバイブルである**『7つの習慣』**(特に第5の習慣)を読み返すことを強くお勧めします。 テクニック本には書かれていない、人と人が心を通わせるための本質がそこにあります。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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