「頑張りすぎず、怠けすぎず」——菜根譚に学ぶ、バランスのとれた働き方とは
仕事に全力で取り組む人ほど、「頑張りすぎて疲れてしまう」ことがあります。
一方で、「無理をせずにマイペースで働こう」と思っても、どこか物足りなさを感じたり、周囲とのギャップに悩むこともあるかもしれません。
古典『菜根譚(さいこんたん)』の一節には、このような働き方の“ちょうどいいバランス”について、現代にも通じる深い示唆が書かれています。
「さまざまな努力や工夫をしながら熱心に仕事に取り組むことは、それ自体素晴らしいことである。しかし、度を超えて頑張りすぎると、楽しくなくなってしまう。
これに対し、あくせくせず、淡々と仕事をこなすのも素晴らしいことである。しかし、こちらも度が過ぎると、世のため人のために役立つことができない。」
この言葉は、「努力」と「ゆとり」の両立の大切さを教えています。
■ 頑張りすぎると、楽しさを失う
「もっと成果を出したい」「期待に応えたい」と思うことは自然なことです。
しかし、限界を超えて働き続けると、いつの間にか仕事が“義務”になり、楽しさを感じられなくなってしまいます。
仕事は本来、自分の力を発揮して誰かの役に立てる場。
それが苦痛に感じるようになったら、少し立ち止まって、自分のペースを見直すサインです。
“休むことも仕事のうち”という考え方を持つことで、結果的に長く良いパフォーマンスを維持できます。
■ 怠けすぎると、意義を見失う
一方で、「無理をしない」ことを意識するあまり、挑戦する気持ちを失ってしまうのも問題です。
淡々と仕事をこなすことは悪いことではありませんが、それが惰性になってしまうと、やりがいや成長の実感を得られなくなります。
『菜根譚』が伝えるのは、「頑張る」「休む」のどちらかに偏らず、心の張りとゆとりのバランスを保つことです。
■ バランスを整える3つのヒント
- 一日の中に「緩急」をつける
朝は集中してタスクをこなし、午後はアイデアを整理する時間にするなど、ペース配分を意識しましょう。
常に全力では息切れしてしまいます。波を作ることで、仕事の質が上がります。 - 「やらないことリスト」を持つ
効率的に働くには、何をやらないかを決めることが大切です。
重要でないタスクを減らすことで、本当に力を注ぐべき仕事に集中できます。 - 「誰のために働くか」を忘れない
『菜根譚』が説くように、世の中や人のために働く意識を持つことで、仕事の意味が深まります。
それが、頑張りすぎず、怠けすぎない“軸”になります。
■ 結局のところ、「中庸」が最強
東洋思想では、極端を避ける「中庸(ちゅうよう)」の考え方が大切にされています。
仕事も同じで、「もっと」「まだ足りない」と焦るより、「今できることを丁寧にやる」姿勢が長期的には最も成果につながります。
『菜根譚』のこの一節は、まさに現代の働く私たちへのメッセージ。
頑張りすぎず、怠けすぎず、心穏やかに働く。
それが、仕事を楽しく続けるための秘訣ではないでしょうか。
■ まとめ
- 頑張りすぎると、楽しさと余裕を失う
- 怠けすぎると、やりがいと意義を失う
- 「中庸」を意識して、心のバランスを整えることが大切
『菜根譚』の智慧は、何百年も前から人の生き方を照らしてきました。
現代の私たちも、この教えをヒントに、心地よい働き方を見つけていきたいですね。
