日常的に楽しんでいるビール。けれど、その一杯がどんな風に造られているか知っていますか?
クラフトビールの世界では、原料の選び方や製造工程の工夫によって、まったく異なる味わいのビールが誕生します。
今回は、ビール造りを大きく8つの工程に分けてご紹介します。これを知れば、いつものビールがさらに美味しく感じられるはずです。
1. 原料の選定
ビールの4大原料は、モルト(麦芽)、ホップ、酵母、水。
同じモルトでも産地や焙煎方法によって風味や色が変わり、ホップも種類ごとに苦味や香りが異なります。醸造家は「こんな味のビールにしたい」というイメージをもとに、これらを組み合わせます。まるで料理のレシピのように、原料選びは味の設計図です。
2. 製麦(せいばく)
大麦を発芽させて麦芽(モルト)を作る工程です。その後、焙燥や焙煎によって色や香ばしさが決まります。淡いゴールデンカラーから、黒ビールのような深い色合いまで、この段階で方向性が決まります。
3. 粉砕
モルトを粗めに砕きます。細かすぎると濾過が難しくなるため、適度な粗さがポイントです。
4. 仕込み(糖化・濾過・煮沸)
砕いたモルトをお湯と混ぜ、「もろみ」にします。ここで澱粉が糖に分解され、発酵の材料となります。
濾過すると**麦汁(ばくじゅう)**と呼ばれる液体になります。この麦汁にホップを加えて煮沸すると、ビール特有の苦味と香りが生まれます。
ちなみに、一番最初に濾過したものは「一番搾り麦汁」、さらにお湯を加えて抽出したものは「二番搾り麦汁」と呼ばれます。某有名ビールの名前にもなっていますね。
5. 主発酵
冷ました麦汁を発酵タンクに移し、酵母を加えます。酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解し、ビールが生まれ始めます。期間は3日〜10日ほど。炭酸のシュワッと感もここでできるのです。
6. 後発酵・熟成
「第二発酵」とも呼ばれる工程です。低温で2週間〜1か月ほどかけて、味がよりまろやかに整っていきます。クラフトビールの個性がぐっと引き立つ重要な段階です。
7. 濾過・熱処理
熟成後のビールは、酵母を除去して発酵を止めます。酵母を取り除かない「無濾過ビール」もあり、濁りや酸味、濃厚なコクが特徴です。冷蔵保存と短い賞味期限が前提ですが、フレッシュさを楽しめます。
一方で、「キリン クラシックラガー」や「サッポロラガービール(赤星)」のように、今でも昔ながらの熱処理ビールとして親しまれる銘柄もあります。
8. パッケージング・出荷
完成したビールは樽や瓶、缶に詰められ、全国の飲食店や家庭へ届けられます。こうして、私たちは日常的にその一杯を楽しむことができるのです。
まとめ
ビール造りは、
- 原料選び
- 製麦
- 粉砕
- 仕込み(糖化・濾過・煮沸)
- 主発酵
- 後発酵・熟成
- 濾過・熱処理
- パッケージング
という8つの工程を経て完成します。
普段何気なく飲んでいるビールも、その背後には緻密な工程と醸造家のこだわりがあります。次にグラスを傾けるとき、こうした背景を思い浮かべれば、味わいがさらに深まるかもしれません。
今宵も、美味しいビールで乾杯しましょう!🍻