自己啓発

「自分が正しい」と信じる人ほど危うい理由|詩篇14章1節に学ぶ、心が腐るメカニズム

taka

「自分が正しい」と信じること。
一見、それは自信や信念の表れのように見えます。
しかし、聖書はそんな人間の心に警鐘を鳴らします。

詩篇14章1節には、こう書かれています。

「愚か者は心の中で『神はいない』と言う。
彼らは腐敗し、忌まわしいことを行う。善を行う者はいない。」

この言葉は、単に「無神論」を非難しているのではありません。
ここでいう“神はいない”とは、「自分以外の上位の存在を認めない」という態度のこと。
つまり、“自分がすべてである”と信じてしまう心のあり方を指しているのです。


「自分が正しい」という信念の裏にある傲慢

「自分が正しい」と思い込んでいるとき、人は他者の声に耳を貸さなくなります。
それどころか、自分の考えに反するものを「間違い」や「敵」とみなして排除しようとします。

この心理は、日常のあらゆる場面に現れます。

  • 職場で自分の意見だけを押し通す
  • 家族や友人の意見を聞かず、感情的に反論する
  • SNSで「自分が正義」と信じて他者を攻撃する

こうした行動の根底には、「自分の判断こそが真理だ」という無意識の思い込みがあります。
しかし、真理は常に一人の中には存在しません。
それを忘れたとき、人は“正義の名を借りた傲慢”に陥るのです。


「神はいない」とは、「自制心を失う」ということ

詩篇が語る「神はいない」という表現は、単に宗教的な意味ではなく、
**“自分を律する存在を心の中に持たない”**という心理的状態を表しています。

本来、人には「これはやってはいけない」「他人を傷つけたらいけない」という
“内なるモラル”や“良心”が備わっています。
聖書はそれを「神の律法」と呼び、心理学では「超自我(super-ego)」と呼びます。

ところが、自分が絶対に正しいと思い込む人は、
この内なる規範を無視してしまうのです。

「悪いことをしても罰なんて当たらない」
「自分が正しいんだから、多少のことは許される」

そうした考えが積み重なると、やがて良心が麻痺し、
何が善で、何が悪かの区別さえつかなくなっていきます。
この状態こそが、**“心が腐る”**ということなのです。


「心の腐敗」は、最初は小さなほころびから始まる

人の心が突然腐るわけではありません。
最初は、ほんの小さな自己正当化から始まります。

  • 「これぐらい大したことない」
  • 「相手が悪いから仕方ない」
  • 「自分の方が正しい」

そうやって自分を少しずつ許していくうちに、
気づけば他人を見下し、責任を取らず、誠実さを失ってしまう。
やましさを感じなくなると、人はどんどん“鈍感”になります。
そしてその鈍感さこそが、心の腐敗を深めていくのです。


謙虚な人は「正しさ」よりも「学び」を選ぶ

聖書の教えは、「神を恐れる者は知恵を持つ」と語ります。
これは単に信仰を持てという意味ではなく、
**「自分の限界を知り、常に学び続ける姿勢」**を指しています。

「自分が正しい」と思う人は、他人の言葉を受け入れません。
しかし、「もしかしたら自分は間違っているかもしれない」と思える人は、
新しい考えを吸収し、成長していきます。

つまり、謙虚さとは「心が成長し続けるための柔軟性」なのです。
一方で、傲慢な心は硬く閉ざされ、やがて腐っていきます。


「自分が正しい」と思ったときにこそ、問いかけたい言葉

人間は誰でも、自分の考えを信じたい生き物です。
しかし、その思いが強すぎるときこそ、次の言葉を思い出してみましょう。

「私は本当に、すべてを見ているだろうか?」
「この考えが、誰かを傷つけていないだろうか?」
「もし自分が間違っていたとしたら、どんな見方ができるだろう?」

この3つの問いができる人は、決して心が腐ることはありません。
なぜなら、自分の内側に“神=良心の声”を持っているからです。


まとめ:正しさよりも、誠実さを

詩篇14章1節が伝えるのは、
「神を否定する者=他者も、善悪も、良心も否定する者」という警告です。

「自分が正しい」と信じる心は、一見強そうに見えて、実はとても脆い。
その裏には、恐れや不安、そして他人を支配したい欲が潜んでいます。

本当に強い人は、正しさを振りかざさない。
正しさよりも、誠実であることを選ぶ人です。
その人の心は腐ることなく、静かに美しく輝き続けます。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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