忙しいときほど冷静に、暇なときほど情熱的に──『菜根譚』に学ぶ心のバランス術
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Taka Knowledge Output
セネカは『幸福な生について』でこう語ります。
「恩を施したことは、地中に埋めた宝物のように眠らせておき、必要なときだけ掘り起こすがよい。自然はわれわれに、万人の役に立て、と命じている。」
つまり、親切は見返りを求めずに行い、必要なときに自然と現れるものだということです。親切そのものが価値であり、宝物のように心を豊かにしてくれるのです。
セネカの解釈を現代に当てはめるなら、今日出会う最初の人――友人でも同僚でも、たとえ知らない人でも――そのすべての場面が親切を実践する機会になります。
小さな親切でも、それは相手にとって助けであり、同時に自分の心を明るくしてくれるのです。
親切は「相手のため」だけではなく、「自分のため」にもなります。
心理学でも「ヘルパーズ・ハイ」と呼ばれる現象が知られており、人を助けることで幸福感が増し、ストレスも減ることがわかっています。
もちろん、親切がいつも返ってくるとは限りません。時には感謝されないこともあるでしょう。ですが、ストア哲学が強調するのは「自分でコントロールできるものに集中する」こと。
この場合、コントロールできるのは 「親切に振る舞うと決める力」 だけです。相手の反応は気にせず、自分の行動そのものに価値を見いだすことが大切です。
どれも小さなことですが、その積み重ねが人間関係を豊かにし、自分の心も穏やかにします。
セネカの言葉が教えてくれるのは、親切の恩恵は相手に届くだけでなく、自分自身の心にも返ってくるということです。
今日、最初に出会う人に小さな親切を試してみましょう。それはあなた自身をも癒やし、心に豊かさをもたらすはずです。