ビジネス書100冊で判明した「世界を変える」の正体──煽る本・悟す本、どっちを信じればいい?
ビジネス書には「世界を変えろ」が溢れている
メモ術の章でも触れたが、ビジネス書にはしばしば
- 世界を変えよう
- 革命を起こそう
- 新しい秩序を作り直そう
といった派手なアジテーションが登場する。
特にこれは、
まえがき・あとがき・帯・表紙カバーの折返し
あたりで高確率で見かける。一種の“盛り上げ装置”なのだろう。
なかでも特徴的なのは、エモい文体で読者を煽るタイプの本──いわゆる「箕輪厚介さんが関わっている本」だ。
自分たちの手で、世界の輪郭に触れ、自由で新しい秩序を作り直そう。
……こっちの世界に来て、革命を起こそう。
巨大なフォント、余白だらけのページ、明朝体。
このセットは、もはやビジネス書の様式美といってもいい。
僕は密かにこれを **「ビジネス書アジテーション」**と呼んでいる。
一方で「世界を変えるな」という本も多い
しかし、煽り系ビジネス書とはまったく逆に、「世界を変えようとするな」と諭す本も少なくない。
その代表格が『Think clearly』だ。
●世界を変えられるという幻想
著者ロルフ・ドベリは、
- 個人が世界を変えるという思考は幻想
- 歴史上の偉人も“ただの登場人物のひとり”
と主張している。
個々の人間が世界を変えられるという思想は幻想でしかない。
さらに、
歴史上の「重要人物」は、当時の出来事の登場人物のひとりにすぎない
という厳しい指摘もある。
つまり、
「自分こそが世界を変える存在だ!」と思うのはむしろ勘違いであり、謙虚でいるべき
ということだ。
これに従うなら、もし周りがあなたを持ち上げてきたら、
「いやいや、僕なんて世界変えられないですよ〜」
と軽く否定した方がいいらしい。
……と、『Think clearly』は言っている。
念のため強調しておくが、これはあくまで著者の主張であり、僕の意見ではない。
『嫌われる勇気』はさらに明確に“革命否定”だった
アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』にも同様の思想がある。
ここで出てくるキーワードが、
「普通であることの勇気」
だ。
人生に高邁な目標は不要で、ただ目の前の課題に集中すべき。
つまり、世界を変える必要もなければ、偉大な存在になる必要もない。
それどころか、「革命を起こすぞ!」という気持ち自体が危険らしい。
特別であろうとすることは問題行動につながる
不登校やリストカットも“特別な存在になろうとする安直な優越性の追求”
つまり、
“特別な自分”を求めすぎると人は破綻する
とまで言い切っている。
これもあくまで著者の主張だが、革命を煽る本とは対極にある。
革命派 vs ハト派、どちらが正しい?
100冊読んでわかったのは、ビジネス書には大きく2種類あるということだ。
●革命派(タカ派)
- 世界を変えよう
- 革命を起こそう
- 自分の力で時代を動かせ
代表例:『死ぬこと以外かすり傷』『メモの魔力』
読者のテンションを一気に引き上げる構成が多い。
●ハト派(現実路線)
- 世界は変えられない
- 偉大さを求めるな
- 特別である必要はない
代表例:『Think clearly』『嫌われる勇気』
こちらは読者を落ち着かせ、地に足のついた生き方を促す。
では、どちらが正しいのか?
結論から言うと、
どちらも“人を動かすための文体”が違うだけで、本質は近い。
革命派が言いたいのは、
「行動しよう」
ハト派が言いたいのは、
「背伸びしすぎるな」
この二つは矛盾しているようで、実は補完関係にある。
- 現実的に動く
- できる範囲で変化を作る
- 世界を変えなくてもいいが、自分の生活は少し良くできる
結局、どの本も“行動と変化”を促しているだけなのだ。
まとめ
・ビジネス書には「世界を変えよう」と煽る革命派が存在する
・同時に「世界は変えられない」と諭すハト派も多い
・本質は「行動はするが、特別になろうとしすぎない」がベストバランス
