迫る「台湾封鎖」のリアル 中国海警が参加した真の狙い
軍事演習に見る「質の変化」
昨年末、中国人民解放軍が台湾周辺で実施した大規模な軍事演習。軍用機や軍艦の展開、実弾射撃といった派手な動きの中で、見落としてはならない重大な変化があった。それは「海警船」の参加である。単なる示威行為ではない。これは中国が描く「新型統一戦争」の具体的な予行演習であり、台湾攻略のフェーズが明らかに変わったことを意味しているといえる。
兵糧攻めという「新型統一戦争」
中国の戦略は明確になりつつある。台湾をあくまで「自国の領域」として扱い、全面的な軍事侵攻というハードルが高い手段ではなく、警察権を持つ海警による「海上封鎖」で台湾を締め上げる。ミサイルではなく、物流の遮断によって経済的に干上がらせる兵糧攻めだ。今回の演習は、実際にバシー海峡や台湾海峡を封鎖する能力が海警にあるのか、その実効性をテストするシミュレーションであったと見るべきである。不足があれば補強し、本番での隙をなくすための冷徹なデータ収集が行われているのだ。
国際社会の反応も計算のうち
これに対し、米国務省は「不必要に緊張を高める」と警告し、日本、オーストラリア、EUなども一斉に懸念を表明した。だが、こうした国際社会の非難さえも、中国にとっては織り込み済みの「反応テスト」に過ぎない可能性がある。どの国が、どの程度の強度で、どれほどのスピードで反応するか。彼らは各国の出方を分析し、台湾統一に向けた外交的な障害をどう排除するかを計算している。ロシアやベネズエラ等の支持をあえて誇示するのも、西側諸国の包囲網への対抗策を構築するためである。
日本の生存を脅かすシナリオ
習近平国家主席が憲法を改正し、任期を撤廃した際の最大の理由は「台湾問題の解決」であった。その3期目が終盤に差し掛かる今、彼に残された時間は多くない。台湾海峡とバシー海峡の封鎖は、エネルギー資源や食料を海外に依存する日本にとって、即座に国家の生存を脅かす事態となる。日本もまた、同時に干上がる運命にあるのだ。もはや「台湾有事」は遠い国の出来事ではない。我々の生活が根底から覆される日が刻一刻と迫っていることを、直視せねばならない。
