書籍紹介

『グラッサー博士の選択理論』を読んで学んだ、人間関係を豊かにする生き方のヒント

選択理論との出会い

ウイリアム・グラッサー博士の『グラッサー博士の選択理論 ― 幸せな人間関係を築くために』を手に取ったきっかけは、「人間関係に悩んでいるときに役立つ本」として紹介されていたからでした。
500ページを超える厚みのある一冊ですが、翻訳を担当された柿谷正期氏の言葉は読みやすく、実践的なエピソードが豊富で、学術書というより“人生の指南書”のような印象を受けました。


選択理論とは?

選択理論の根本にある考えはシンプルです。
「私たちは自分の行動と思考を選ぶことができる」
つまり、感情や環境に振り回されているように見えても、その捉え方や対応の仕方は自分で選んでいる、ということです。

特に印象に残ったのは、人間の基本的な欲求を5つに整理している点です。

  1. 生存
  2. 愛と所属
  3. 力(達成感や有能さ)
  4. 自由(選択の余地)
  5. 楽しみ

私たちの行動は、このどれかを満たそうとしている。人間関係で衝突が起きるのは、それぞれの欲求の満たし方が違うからだ、という説明はとても納得感がありました。


心のアルバムと「クオリティ・ワールド」

本書では「心のアルバム」「クオリティ・ワールド」という表現が使われています。これは、自分の中にある理想像や欲しいもののイメージのこと。
たとえば「理想の家族像」や「こうありたい自分」もこのアルバムに入っています。

現実とのギャップに苦しむとき、人は他人を変えようとしたり、怒りや苛立ちをぶつけてしまいがちです。ですが、選択理論では「他人は変えられない、自分の選択だけが変えられる」と繰り返し説かれています。
これは人間関係だけでなく、仕事や子育ての場面にもそのまま当てはまります。


読んで得られた気づき

この本を通じて、私が特に心に残ったのは次の3点です。

  • 感情に支配されない
     落ち込むのも、怒るのも、自分が選んだ反応。ならば「別の反応」を選ぶ余地もある。
  • 人間関係は“支配”ではなく“選択”でつくられる
     相手をコントロールしようとするのではなく、信頼や選択の自由を尊重することが、長期的に良い関係につながる。
  • 幸せとは欲求の満たされ方にある
     自分の欲求が満たされていないとき、不満が生じる。逆に欲求を健全な形で満たせると、自然に心は満ちる。

読み進めながら、「ああ、あの時のあの関係の不和もこう説明できるな」と何度も腑に落ちる瞬間がありました。


実生活でどう活かすか

たとえば、家庭での子育て。子どもに「勉強しなさい!」と命令してもうまくいかないのは、子どもの自由の欲求を奪っているから。
代わりに「どうやったら楽しく勉強できるか一緒に考えよう」とアプローチすれば、愛と所属・楽しみの欲求を満たしながら行動に結びつけられる。

また、職場でのリーダーシップでも同じことがいえます。部下を「管理」するのではなく、選択理論をベースに「本人の欲求を満たす形で協働する」ことで、モチベーションも成果も高まりやすい。


まとめ

『グラッサー博士の選択理論』は、単なる心理学の本ではなく、「どうすれば幸せな人間関係を築けるか」という問いに答えてくれる実用書です。
ページ数は多いですが、日常のさまざまな場面に役立つヒントが詰まっていて、何度でも読み返したくなる内容でした。

「人間関係をもっとよくしたい」
「自分の感情に振り回されずに生きたい」

そう思う人には、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

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taka
理学療法士TAKAが自分の臨床成果を少しでも高めるために、リハビリ・運動学・生理学・物理療法について学んだ内容を発信。合わせて趣味の読書や自己啓発等の内容の学びも自己満で発信するためのブログです。