リハビリ関連

ショパール関節の解剖と機能:距舟関節・踵立方関節の役割

ショパール関節とは

ショパール関節(Chopart joint)は、距舟関節(talonavicular joint)踵立方関節(calcaneocuboid joint) をまとめた呼称であり、横足根関節とも呼ばれます。

この関節は、距骨下関節と協調して足部の回内・回外運動を作り出す重要な役割を担っています。特に、不整地歩行や方向転換、片脚支持時のバランス調整に不可欠な関節です。


距舟関節(Talonavicular joint)

距舟関節は、距骨頭の凸面と舟状骨の凹面で構成されます。

  • 構造的特徴
    • 球状関節に類似しており、多方向の可動性を持つ
    • 中足部より遠位の回内・回外運動を可能にする
  • 靭帯・筋との関係
    • 舟状骨粗面から楔状骨・立方骨下面にかけて、後脛骨筋腱が広く付着
    • 後脛骨筋は内側アーチの支持に重要であり、距舟関節の安定性にも寄与

距舟関節の柔軟な可動性は、足部全体のアーチ保持や衝撃吸収に直結します。


踵立方関節(Calcaneocuboid joint)

踵立方関節は、踵骨の凸面と立方骨の凹面で構成されます。

  • 構造的特徴
    • 関節面が複雑で「鞍状関節」に分類される
    • 距舟関節に比べて可動性は小さい
  • 機能的役割
    • 前足部(第4・5中足骨)に運動を連動させる
    • 足部外側の安定性を高め、横アーチ支持に寄与
  • 腱・靭帯との関係
    • 立方骨下面には溝があり、長腓骨筋腱が通過
    • 外側縦アーチを支える重要な機構

このように踵立方関節は、柔軟性よりも「安定性」に重きを置いた関節といえます。


ショパール関節の機能的意義

ショパール関節は、距骨下関節と協調して回内・回外運動を担います。

  • 回外位(安定性が高い)
    • 距舟関節と踵立方関節の運動軸が平行化
    • 足部全体が「ロック」され、立脚初期の安定に寄与
  • 回内位(柔軟性が高い)
    • 運動軸が交差し、足部全体が「アンロック」される
    • 衝撃吸収や不整地適応が可能となる

この「ロック・アンロック機構」は、ショパール関節の大きな特徴であり、歩行効率やバランス制御の基盤となっています。


臨床における評価と治療の視点

  1. アーチの支持と関節機能
    • 距舟関節は内側縦アーチ、踵立方関節は外側縦アーチに強く関与
    • アーチ低下例(扁平足や外反母趾など)ではショパール関節の可動性評価が重要
  2. 後脛骨筋・長腓骨筋の影響
    • 内側アーチは後脛骨筋、外側アーチは長腓骨筋により安定化
    • 筋力低下や腱障害はショパール関節の不安定性や可動性制限に直結
  3. 臨床での可動域制限の意義
    • 距舟関節の可動制限 → 衝撃吸収不良、歩行時の疲労や痛み
    • 踵立方関節の可動制限 → 外側アーチの硬さ、バランス不良
  4. リハビリ介入例
    • 関節モビライゼーションでの可動域改善
    • 足底筋群や後脛骨筋・腓骨筋の強化
    • 必要に応じてインソールによるアーチサポート

まとめ

ショパール関節は、距舟関節と踵立方関節の複合関節であり、足部の回内・回外運動を可能にする重要な関節です。

  • 距舟関節 → 柔軟性と多方向性に富み、内側アーチを支える
  • 踵立方関節 → 安定性を重視し、外側アーチを支える
  • 距骨下関節と協調し、「ロック・アンロック機構」で歩行効率を高める

臨床においては、ショパール関節の柔軟性と安定性のバランスを評価することで、歩行障害やアーチ障害の理解・治療に直結します。

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taka
理学療法士TAKAが自分の臨床成果を少しでも高めるために、リハビリ・運動学・生理学・物理療法について学んだ内容を発信。合わせて趣味の読書や自己啓発等の内容の学びも自己満で発信するためのブログです。