なぜあの人は変わらないのか?手詰まり感を打破する「第3の選択肢」とは
「何度言っても相手が変わってくれない」 「話し合いが平行線で、最後はいつも喧嘩か無視のどちらかになる」
そんなふうに、人間関係の壁にぶつかって途方に暮れていませんか?
頑張って説得してもダメ、怒ってもダメ。もう打つ手がないと感じるのは辛いものです。 しかし、世界的名著『7つの習慣』の著者コヴィー博士は、それは「打つ手がない」のではなく、**「あなたが持っている手札(カード)が少なすぎるだけだ」**と指摘しています。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- 自分で「変えられること」と「変えられないこと」の正しい見分け方
- 多くの人が陥る「戦うか、逃げるか」の残念なパターン
- 相手を動かすための「30種類以上の武器」の正体
手持ちの道具が増えれば、修理できる悩みも増えます。 行き詰まった状況から抜け出し、自由な気持ちを取り戻すヒントをお伝えします。
あなたの悩みは「どっち」の種類?
まず、私たちが抱える悩みには、大きく分けて2つの種類があることを理解しましょう。
1. 自分で直接コントロールできる問題
これは、自分の行動や習慣に関するものです。
- 「早起きできない」
- 「つい食べすぎてしまう」
- 「勉強が続かない」
これらは、自分の**「習慣」**を改めれば100%解決できます。自分との戦いです。
2. 間接的にしかコントロールできない問題
厄介なのがこちらです。他人の行動が関わる問題です。
- 「部下がやる気を出さない」
- 「子供が言うことを聞かない」
- 「上司が認めてくれない」
他人の心を直接手で書き換えることはできません。 だからこそ、ここに必要なのは「命令」や「強制」ではなく、**「影響を及ぼす方法(アプローチ)」**を工夫することです。
「金づち」しか持っていない人は不幸である
コヴィー博士は、多くの人がこの「他者への影響力」のレパートリー(手札)を、ほんの3〜4種類しか持っていないと指摘しています。
その数少ない手札とは、だいたい以下の通りです。
- 理屈で説得する(「こうするのが正しいでしょ?」)
- うまくいかないと怒る(闘争)
- 諦めて無視する(逃走)
これではまるで、大工道具箱に「金づち」しか入っていないようなものです。 釘を打つ(単純な説得)には使えますが、ネジを回したいときや、木を切りたいときには役に立ちません。
それなのに、「なんでこの金づちでネジが回らないんだ!」と怒ったり、「もうダメだ」と放り出したりしているのが、多くの人間関係のトラブルの正体なのです。
「影響力」のカードは30種類以上ある
コヴィー博士は、**「私は影響を及ぼす方法を30種類以上知っている」**と述べています。
もし、「説得(ロジック)」が通じなかったとしても、落ち込む必要はありません。「別のカード」を切ればいいだけだからです。 例えば、次のようなアプローチがあります。
1. 相手の立場に身を置いて聴く(共感)
自分の意見を言う前に、「なぜ相手はそう思うのか?」を徹底的に聴きます。人は「理解された」と感じて初めて、相手の話を聞こうとする生き物です。
2. 自分が模範となる(背中で語る)
言葉で注意するのをやめ、自分が理想的な行動をとり続けます。その姿を見て、相手が自発的に変わるのを待つのです。
3. 「私」を主語にして主張する(アイ・メッセージ)
「あなたは間違っている」と攻めるのではなく、「私はこうしてほしいと思っている」「私はこう感じている」と、自分の感情や要望を率直に伝えます。
4. 第三者の力を借りる
信頼できる共通の知人に間に入ってもらったり、環境を変えたりするのも一つの手です。
これらはほんの一部です。 「戦う(闘争)」か「逃げる(逃走)」か。その二択しかないと思うから苦しいのです。 「方法は他にも無数にある」と知るだけで、心は驚くほど解放され、冷静さを取り戻すことができます。
まとめ・アクションプラン
「あの人が変わらない」と嘆く前に、自分の道具箱の中身を確認してみましょう。 使い古した「説得」という道具が効かないなら、一度置いて、別の道具を試せばいいのです。
今回のポイントをまとめます。
- 他人の問題は「支配」できないが、「影響」を与えることはできる。
- 多くの人は「説得してダメなら、怒るか無視する」というパターンに陥っている。
- アプローチの方法は無限にある。手を変え品を変えれば、道は開ける。
今日からできる、手詰まり感を打破するアクションを提案します。
Next Action: 今、うまくいっていない相手との関係で、**「いつもやっているけど効果がないこと(例:ガミガミ言う、不機嫌になる)」を一つやめてみてください。 そして、代わりに「今までやったことのない方法」**を一つ試してみましょう。 例えば、「相手の言い分を遮らずに最後まで聴く」でもいいですし、「手紙を書いてみる」でも構いません。 「実験してみよう」という軽い気持ちでアプローチを変えることが、状況を動かす第一歩になります。
より多くの「影響力の方法」や人間関係の原則を学びたい方は、やはり**『7つの習慣』**(スティーブン・R・コヴィー著)が最高の教科書になります。あなたの対人スキルの引き出しを、3つから30以上に増やしてくれるはずです。
