政治・経済

消費税と物価高の真実を見直す視点

taka

世論と政策のねじれ

11月4日から臨時国会が本格的に動き出し、1週間が過ぎた。経済政策をめぐって代表質問や予算委員会で激しい議論が続くが、支持率の高さとは裏腹に、物価高対策や消費税政策にはほころびが見え始めていると感じる。世論調査では8割が政権に期待を寄せる一方、7割以上が求める消費税減税には応じない姿勢が鮮明である。このギャップは大きく、期待に急ブレーキがかかった印象も否めない。

そんな中、自民党の小林政調会長が「消費税減税を選択肢として排除しない」と発言し、注目を集めた。しかしこの姿勢も本気度が見えにくい。自民・維新の連立直後には、維新側から“減税見送り”の発表があり、合意文書に書かれた「検討」は実行される保証がない。検討だけ続け、実施は先延ばしにする余地はいくらでも残されている。

物価高と消費税の本質

日曜討論に登場した参政党の安藤幹事長は、消費税が賃上げを阻む構造を明確に指摘した。消費税は「売上税」に近い性質を持ち、事業者は売上の一定割合を納税する義務を負う。中小企業は価格に転嫁しきれず、利益を削って納税しているのが実態である。消費税を廃止すれば利益が手元に残り、その分を賃上げの原資に回すことができる。これが“究極の中小企業支援策”といわれる理由である。

さらに重要なのは、消費税が「利益+人件費」に近い部分へ課税される構造だ。給与は本来、企業の経費であり利益とは別の領域にある。しかし消費税の計算上、人件費は非課税仕入れとして扱われ、結果的に“人件費に間接的な課税”が起きている。賃上げを行うほど消費税の負担が相対的に重くなり、企業は昇給に踏み切りにくくなる。この仕組みこそ、賃上げを阻む大きな壁である。

各党の姿勢と政治の停滞

同じ番組に出演したれいわ新選組の大石議員は、過去最高税収と国民負担の増加を背景に、抜本的な減税の必要性を訴えた。ただ、主張は強いものの説明が散漫となり、論点のまとまりに欠けた印象もある。政策の方向性は参政党と多くの部分で一致しており、経済政策に関しては党派を超えて協力できる余地があるはずだ。

しかし現実には、多くの政党が「やると言いながら実行しない」状態に陥っている。消費税減税は速効性ある物価対策として強く求められているにもかかわらず、議論は表面的にとどまり、大きな動きにはつながらない。結局のところ、本気で取り組む意思があるなら、組織に縛られず行動を起こすべきではないか。

賃上げと税制改革の行方

消費税が賃上げを阻害する構造を解消するには、消費税減税や廃止が最も効果的な手段といえる。法人税だけを引き下げても、給与支払い後に残る利益が増えるだけで、賃上げの原資そのものは変わらない。消費税がなければ、企業は売上から直接人件費に回せる余地が広がり、賃上げの環境が整う。

物価高や賃上げの議論が続くなか、根本的な構造を直視しなければ状況は変わらない。消費税の仕組みを理解し、政治の発言や政策がどこまで実現性を持つのか、私たちが冷静に見極めることが必要である。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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