🧠 「ほしいという気持ちは最初に抑え込め」──フランクリンが教える“欲望との付き合い方”

■ 「洋服好きな浪費家は、間違いなく災難」

フランクリンはこの章で、まず“見栄と物欲”の関係を指摘します。

「洋服好きな浪費家は、間違いなく災難。買う前に、財布とよく相談するように。」

つまり、欲望に任せて買う前に、理性に相談せよということです。
特に「おしゃれ」「流行」「贅沢品」といった魅力的なものは、財布の中身を静かに奪っていきます。

現代にも似た構図があります。

• 新しいガジェットが出ると、つい欲しくなる
• SNSで見た商品を“自分も欲しい”と錯覚する
• 「自分へのご褒美」が常習化する

フランクリンは、そうした“衝動の奴隷”にならないように警告しているのです。

■ 「自慢」は物乞いと同じくらいみっともない

次に、フランクリンは「見せびらかし」の心理を批判します。

「自分自慢というものは、物乞いのようなもので、うるさくつきまとってくるだけでなく、物乞い以上になれなれしい。」

この一文には、“見栄”の愚かさが端的に表れています。
他人にどう見られるかを気にして、自分を飾り立てる人ほど、精神的にも経済的にも貧しくなっていく。

SNSの「いいね」やブランド志向が強い現代社会では、
フランクリンのこの皮肉はなおさら重く響きます。

「見せるために生きる人は、いつか“中身の空虚さ”を見せることになる。」

自慢や誇示は、心の穴を埋めようとする行為に過ぎません。
フランクリンは、それを“物乞い以上になれなれしい”と喝破したのです。

■ 「贅沢品は一つ買ったら、十倍欲しくなる」

フランクリンの洞察は、欲望の連鎖を見事に表現しています。

「贅沢品は一つでも買ったら最後、さらに見た目を飾り立てたくなるので、余計に10倍も買わずには済まなくなる。」

まさに現代の「消費スパイラル」。
人は満たされるほど、次の刺激を求めます。

• 一つ高級品を持つと、それに合わせて他の物も買い替えたくなる
• より上のランクを手に入れたいという欲求が止まらない
• 「もう少し」が永遠に続く

フランクリンが言う「贅沢の連鎖」は、心理学でいう「快楽順応」とも重なります。
一度味わった快感はやがて“基準”になり、次の刺激を求めるようになる——
だからこそ、最初に欲望を抑えることが最も簡単で効果的なのです。

■ 「ほしいという気持ちは最初に抑え込め」

この章の核心となる一文です。

「ほしいという気持ちは最初に抑え込んでおくほうが、
つぎからつぎへと湧いてくる気持ちをぜんぶ満足させるよりもはるかに簡単。」

つまり、最初の衝動を抑えることが、最大の節約術。
欲望は“火”のようなもの。小さいうちなら簡単に消せるが、一度燃え広がれば、人生を焼き尽くすこともあります。

このフランクリンの教えは、現代のマーケティング社会にも鋭く通じます。
広告・SNS・セール戦略は、私たちの“ほしい”を刺激するために作られています。
だからこそ、「買う」前の3秒間が勝負なのです。

■ 「欲望を制する」ためのフランクリン流3原則

フランクリンの哲学を現代の生活に落とし込むなら、次の3つの習慣が鍵になります。

1. 買う前に“目的”を確認する
   　「これは本当に必要か？」「誰のために買うのか？」を自問する。
2. “最初の欲”を見送る勇気を持つ
   　欲しいと思った瞬間に買わず、1日寝かせて考える。多くの衝動は翌日には消える。
3. “満足”より“静けさ”を大切にする
   　物ではなく、心の穏やかさに価値を見出す。これが本当の贅沢。

この3つを続けることで、フランクリンが言う「倹約」と「自由」を両立できます。

■ まとめ：「欲を抑えることは、自由を得ること」

ベンジャミン・フランクリンの言葉

「ほしいという気持ちは最初に抑え込んでおくほうが、
つぎからつぎへと湧いてくる気持ちをぜんぶ満足させるよりもはるかに簡単。」

この一文には、欲望と理性のバランスという普遍のテーマが込められています。

• 欲望を否定するのではなく、コントロールする。
• 満足を追い求めるより、平静を選ぶ。
• “買わない自由”こそ、最高の贅沢。

フランクリンの言葉を現代風に言えば、

「欲を満たすより、欲に支配されない自分をつくれ。」

その“最初の一呼吸”が、浪費を防ぎ、心を豊かにします。
今日から、ほしいと思った瞬間に立ち止まる習慣を——それが、あなたの未来を守る“富に至る道”です。

TAKA

理学療法士/ビール

YouTubeContact

理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。