「感情をコントロールせよ」——心を守ることが、人生を守ること

聖書の箴言25章28節には、次のような言葉があります。

「自制のない人は、城壁のない町のようだ。」

古代の町にとって、城壁は“守りの象徴”でした。
敵の侵入を防ぎ、人々を安全に保つための防御線です。

この比喩は、現代の私たちにもそのまま当てはまります。
自制心を失うことは、まるで自分の心の城壁を壊してしまうようなもの。
怒り、焦り、不安、嫉妬といった感情が自由に出入りし、心が荒れていく。
やがて理性を失い、後悔する行動を取ってしまうのです。

感情を「抑える」ではなく、「扱う」

感情をコントロールすると聞くと、「我慢する」「抑えつける」と思いがちです。
しかし、聖書が言う“自制”とは、感情を押し殺すことではありません。

それは、「感情に支配されず、自分が感情を導く」こと。
つまり、“主導権を握る”ということです。

怒りを感じること自体は悪ではありません。
問題は、その怒りに支配されて衝動的に行動してしまうこと。
感情を敵と見るのではなく、正しく方向づける力——それが「自制心」です。

自制心が弱まるときに起きる３つのこと

自制心を失った状態は、まさに「城壁のない町」。
そこには３つの危険があります。

① 他人の言葉に振り回される

感情の防御線がないと、他人の言葉や態度がそのまま心に突き刺さります。
相手の一言で一喜一憂し、気づけば疲れ切っていることも。

② 衝動的に判断して後悔する

怒りや不安に任せて判断すると、冷静さを欠きやすくなります。
「つい言ってしまった」「あんなメール送らなきゃよかった」——そんな後悔は、ほとんどが感情の暴走から生まれます。

③ 自分の価値を見失う

感情に支配されると、「自分らしさ」が見えなくなります。
その場の気分に流され、信念や大切にしている価値観を手放してしまうのです。

感情をコントロールする３つの実践法

自制心は、生まれつきの性格ではなく「鍛えられる力」です。
ここでは、心の城壁を再び築くための３つの方法を紹介します。

① まず「気づく」ことから始める

怒りや不安が湧いた瞬間に、「あ、今私は怒っているな」と意識できるだけで、感情の波に飲み込まれにくくなります。
感情を客観視することは、心のブレーキをかける第一歩です。

② 「反応」ではなく「選択」で動く

感情が高ぶったときこそ、すぐに反応せず「間」を置きましょう。
深呼吸を3回する、少し席を外す、それだけで思考が整理されます。
感情的な反応ではなく、「自分が選んだ行動」を取ることで、自制心は磨かれます。

③ 「心を守る習慣」を持つ

感情をコントロールするには、日常的なメンテナンスも重要です。
祈り、瞑想、日記、散歩など、自分の心を整える時間を毎日少しでも持つこと。
心のエネルギーが回復すれば、感情にも余裕を持てます。

自制心は「静かな強さ」

自制できる人は、一見するとおとなしく、控えめに見えるかもしれません。
しかし、彼らは誰よりも内側に強さを持っています。

怒りを抑えるのではなく、怒りを理解して行動を選べる人。
不安を否定せず、それでも一歩を踏み出せる人。
そうした“心の安定”こそ、真の勇気であり、成熟した人間の証です。

終わりに：自分の心の城壁を築こう

箴言25章28節が語る「自制心を持て」という教えは、
現代のストレス社会において、ますます重要なメッセージです。

人は、環境や他人を完全にコントロールすることはできません。
しかし、自分の感情だけは、自分で守ることができます。

あなたの心が穏やかである限り、どんな嵐にも揺るがない。
それが、人生を守る“見えない城壁”なのです。

まとめ

• 自制心は「感情を支配する力」ではなく「感情を導く力」
• 感情に流されると、心の防御力が失われる
• 感情を意識し、反応を選び、心を整える習慣を持つ

あなたの今日の冷静な一瞬が、明日の平和を守ります。
自制心は、あなたの人生を静かに、しかし確実に強くしていく力なのです。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。