運命を支配するのは自分だ｜幸田露伴『努力論』に学ぶ「自信」と「主体性」の力

運命は「支配されるもの」ではなく「支配するもの」

幸田露伴の『努力論』には、人間の生き方を根本から問い直す言葉が多く登場します。
なかでも「運命は自分で支配せよ」という教えは、人生の主導権を自らの手に取り戻すための指針といえるでしょう。

露伴はこう述べています。

「運命に支配されるよりは、運命を自ら支配したいと願うのが、われわれの自然な思いだろう。」

私たちは、困難にぶつかったときや思い通りにいかないとき、つい「運命のせい」と言い訳してしまいます。
しかし露伴は、そんな姿勢こそが“人間の力を弱める原因”だと警鐘を鳴らしています。

なぜ私たちは「自分を卑下」してしまうのか

露伴は続けます。

「それなら、なぜ自らを卑下したり、自分自身がもっている能力を過小評価したりするのか。」

人は、自分の可能性を信じるよりも、できない理由を探す方が得意です。
「どうせ無理だ」「才能がない」と自らを卑下してしまうことで、挑戦する前から運命を諦めてしまうのです。

しかし露伴は、そんな“弱い自己否定”を強く戒めます。
なぜなら、それは「自分の運命を他人や環境に明け渡している」のと同じだからです。
他人に支配されるのではなく、自分の力で道を切り拓く。
それが露伴の言う「運命を支配する」生き方なのです。

自信は「才能」ではなく「姿勢」から生まれる

露伴の時代にも、現代と同じように「自信を持てない人」が多くいました。
しかし、彼は自信を“生まれつきの性格”ではなく、“意志と行動によって培われるもの”と考えています。

「もっと自信をもって前に進み、自分の運命を切り開いていけばいいのだ。」

露伴の言葉には、「自信とは、行動の結果として生まれるもの」というメッセージが込められています。
つまり、「自信があるから行動する」のではなく、「行動するから自信がつく」ということ。

最初の一歩を踏み出さない限り、どんなに考えても状況は変わりません。
自信とは、行動を積み重ねる中で育つ“自分への信頼”なのです。

運命を支配する3つの行動指針

幸田露伴の思想を現代に応用するなら、「運命を支配する」とは次の3つの行動を意味します。

1. 自分の可能性を疑わないこと
   　他人と比較して卑下するのではなく、「今の自分にできる最善」を探す姿勢を持つ。
2. 小さな決断を積み重ねること
   　運命は一瞬で変わるものではなく、日々の小さな選択の積み重ねで形づくられる。
3. 結果よりも過程に責任を持つこと
   　どんな結果になっても「自分の選択だった」と受け止められる人は、運命に支配されない。

この3つの姿勢があれば、どんな環境にあっても自分の人生を主体的に進めていけます。

「自己卑下」は運命を他人に渡すこと

露伴の言葉には、「自己卑下」や「他責的な考え方」への強い批判が込められています。
彼は、「運命は支配されるもの」と信じる人ほど、他人や環境の影響を過大に受けると指摘します。

たとえば、仕事で成果が出ないときに「上司が悪い」「時代が悪い」と言っても、状況は変わりません。
しかし、「自分にできる工夫は何か」と考える人は、状況を少しずつ変えていけます。

この“思考の違い”が、最終的に大きな「運命の差」を生むのです。
運命とは外から与えられるものではなく、自分の選択によって少しずつ変えていくものなのです。

幸田露伴が教える「生きる自信」の源

露伴は人生を通して、努力・意志・そして自信を重んじた人物でした。
彼の思想の根底には、「人間は本来、前に進む力を持っている」という確信があります。

「運命に泣き言を言うな」（第5章）と語った露伴は、さらに一歩進めて「運命を支配せよ」と言います。
それは単なる強がりではなく、「人間には、自分の人生を変える力が必ずある」という信念の表れです。

自信とは、他人から与えられるものではありません。
それは、自分の行動で自分を支える“生きる力”なのです。

まとめ：運命を切り開くのは、他でもない「あなた」

運命は誰かに決められるものではなく、自分で形づくるもの。
自分を卑下せず、自らの力を信じて前に進む人こそが、真に運命を支配する人です。

幸田露伴の「運命は自分で支配せよ」という言葉は、
現代を生きる私たちに「自信を取り戻せ」という強く優しいメッセージを投げかけています。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。