自己啓発

心にゆとりを持つための環境を整える──『菜根譚』に学ぶ、忙しい現代人のための“心のリセット術”

taka

心の穢れは、環境で清めることができる

『菜根譚』後集第45章には、こう書かれています。
「深い山間の泉のほとりを歩いていると、俗世間の悪い慣習やしきたりに染まった心も洗い清められる。
また、詩や書、絵画などをゆっくりと楽しんで鑑賞していると、身に染みついた俗世間の悪臭も知らぬ間に消え去る。」

この言葉が示すのは、**「人の心は環境によって変わる」**という事実です。
どんなに意志が強い人でも、周囲の雰囲気や人間関係、情報の影響を受けずに生きることはできません。

仕事、SNS、ニュース、人間関係──
日々、私たちの心は目に見えない“ノイズ”にさらされています。
だからこそ、『菜根譚』はこう教えます。

「心を整えたいなら、まず環境を整えよ。」


環境を変えると、心が変わる

「深い山間の泉」という表現は、ただ自然を賛美しているわけではありません。
それは、“静けさ”と“清らかさ”の象徴です。

自然の中に身を置くことで、思考がゆるみ、感情の波が静まり、自分の本来の心に戻っていく──。
これは現代でも、心理学的に裏付けられた「環境療法」の考え方に通じます。

自然音や緑の風景は、副交感神経を優位にし、ストレスを軽減します。
つまり、自然は「心のリセットボタン」のような存在なのです。

日々の暮らしの中で、

  • 早朝の散歩をする
  • 公園で深呼吸をする
  • 観葉植物を部屋に置く
    そんな小さな工夫でも、心の穢れを洗い流す効果があります。

忙しい人ほど、静けさの中で心を整える時間が必要なのです。


芸術を楽しむことが、心を磨く

菜根譚は続けてこう言います。
「詩や書、絵画などを鑑賞すれば、俗世間の悪臭が知らぬ間に消え去る。」

これは、芸術の力で心を浄化するという意味です。
芸術は、理屈ではなく“感性”に働きかけ、心の柔らかい部分を呼び覚まします。

たとえば、

  • 好きな音楽をじっくり聴く
  • 美しい風景写真を眺める
  • 書や絵に触れて心を静める

こうした時間は、思考のスピードを緩め、心の奥にたまった“感情のほこり”を落としてくれます。
芸術を楽しむことは、贅沢ではなく「心の掃除」なのです。


志を忘れず、環境の力を借りる

『菜根譚』は一方で、こうも警告しています。
「趣味に心を奪われて、本来の志や信念を見失ってはならない。」

つまり、環境づくりや趣味はあくまで“手段”であって、“目的”ではないということ。
たとえば、

  • 癒しを求めすぎて現実逃避に走る
  • 趣味に没頭しすぎて本業を忘れる
  • 便利さを追求しすぎて怠惰になる

これでは、心を整えるどころか、かえって軸がぶれてしまいます。

菜根譚が説く理想は、**「俗世間に流されず、それでいて固くなりすぎない」**というバランス。
静けさと情熱、休息と行動──その間に心の調和を見つけることが、成熟した生き方なのです。


現代人が実践できる「心を整える環境づくり」

では、現代において「心のゆとりを保つ環境」を整えるには、どんな方法があるでしょうか?
菜根譚の教えをヒントに、実践的な3つのステップを紹介します。

  1. デジタルから距離を置く時間を持つ
    スマホやSNSは、常に他人の情報で心をかき乱します。1日10分でも“情報断食”をしてみましょう。
  2. 「美しいもの」に触れる
    部屋に花を飾る、香りを楽しむ、音楽を流す──感性を満たす環境が、心の余裕を育てます。
  3. 静かな空間を日常に取り入れる
    朝の散歩、夜の読書、休日の自然散策など、「静けさ」を意識的にスケジュールに組み込みましょう。

これらはどれも、心を「無理やり変える」のではなく、「自然に整える」方法です。
外の環境を変えることで、心の中に“ゆとり”の空間が生まれます。


まとめ:心のゆとりは、意志ではなく環境から生まれる

『菜根譚』のこの章が教えるのは、

「強い心を持つことよりも、心を澄ませる環境を持つことの方が大切だ」
というメッセージです。

頑張りすぎている人ほど、環境を整えることを後回しにしがちです。
しかし、心が疲れたまま努力を続けても、やがて限界がきます。

だからこそ、まずは「心が安らぐ空間」「静かに戻れる場所」をつくりましょう。
自然、芸術、静けさ──それらがあなたの心の“泉”となり、再び前に進む力を与えてくれます。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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