スタッフがすぐ辞めるのはなぜ?会社を救う「従業員=VIP客」という考え方
「お客様は神様だ! 誠心誠意尽くせ!」 そうスローガンを掲げているのに、裏では上司が部下を怒鳴りつけたり、休憩も取らせずに働かせていたりする。
あなたの職場や、あなたが利用したお店で、そんな「矛盾」を感じたことはありませんか?
実は、世界的なビジネスの原則において、「従業員を大切にしない会社」が「顧客を大切にすること」は不可能だと断言されています。
スティーブン・R・コヴィー博士は、スタッフこそが成果(サービス)を生み出す「PC(資産)」であり、**「顧客に対するのと同じ態度で、スタッフに接するべきだ」**と説いています。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- なぜ「ブラックな働き方」を強いる店は、結局お客様も離れていくのか
- スタッフ=PC(成果を生み出す能力)という重要な考え方
- 売上を伸ばすためにリーダーが最初にするべき「意外な行動」
経営者やリーダーの方はもちろん、働く側の方も「良い会社の条件」を知るために、ぜひ最後までお読みください。
「従業員を無視する会社」に未来はない
多くの企業が陥りがちな大きな間違いがあります。 それは、「黄金の卵(顧客からの売上)」ばかりを追い求め、それを産んでくれる「ガチョウ(スタッフ)」の世話をしないことです。
スタッフは「PC(能力)」そのものである
コヴィー博士の言う「PC」とは、パソコンのことではなく、**「Production Capability(成果を生み出す能力)」**のことです。
お店や会社において、実際にお客様にサービスを提供し、商品を売るのは誰でしょうか? 社長ではありません。現場のスタッフです。 つまり、スタッフこそが、顧客満足という「成果」を生み出すマシーン(資産)そのものなのです。
メンテナンスもされず、乱暴に扱われているマシーン(スタッフ)が、最高品質の製品(サービス)を作れるはずがありませんよね? スタッフをないがしろにすることは、自分の会社の「稼ぐ力」を自ら破壊しているのと同じなのです。
社内の空気は、必ず社外に漏れ出す
ここで興味深い法則をお伝えします。 **「上司が部下を扱う態度は、部下が顧客を扱う態度とイコールになる」**という法則です。
不満のバケツリレー
想像してみてください。 朝一番に上司から「お前は代わりなんていくらでもいるんだ!」と理不尽に怒られたスタッフがいるとします。 その直後、お客様から「ちょっと、これ使い方がわからないんだけど」と話しかけられたら、そのスタッフはどんな笑顔を作れるでしょうか?
おそらく、表面上は笑っていても、声のトーンや目つきに「不機嫌さ」や「投げやりな態度」が滲み出てしまうはずです。
- 会社がスタッフを大切にする → スタッフ心が満たされる → スタッフが顧客を大切にする
- 会社がスタッフを粗末にする → スタッフが不満を持つ → その不満が接客に出る
この連鎖は絶対に断ち切れません。だからこそ、「顧客第一」を実現したいなら、その前に「従業員第一」でなければならないのです。
スタッフを「一番大切な顧客」として扱う
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。 コヴィー博士の答えはシンプルです。 「会社は大切な顧客に臨む接客態度で、スタッフに接することが原則である」
もし部下が「お得意様」だったら?
リーダーの皆さんは、部下や同僚と接するとき、少し想像してみてください。 「もし目の前の部下が、年間1億円買ってくれる超VIPなお客様だとしたら、私は今のような口の利き方をするだろうか?」
- 話を遮らずに最後まで聴くはずです。
- 「ありがとう」「助かるよ」と感謝を伝えるはずです。
- 困っていたら、すぐに手助けするはずです。
これを社内で行うのです。 これがいわゆる**「ES(従業員満足度)」の向上**です。
大切に扱われたスタッフは、会社(リーダー)に対して信頼と愛着を持ちます。「この会社のために頑張ろう」という自発的な意欲こそが、マニュアルを超えた「最高の顧客サービス」を生み出す源泉になるのです。
まとめ・アクションプラン
「お客様のために」と叫ぶ前に、まずは隣にいる「働く仲間」を見つめ直しましょう。 最高のサービスは、強制されたノルマからではなく、満たされた心から溢れ出るものです。
今回のポイントをまとめます。
- スタッフは成果を生み出す「PC(資産)」。使い捨てにしてはいけない。
- 従業員の扱われ方は、そのまま顧客への扱われ方に反映される(鏡の法則)。
- 顧客にするのと同じように、敬意を持ってスタッフに接するのが鉄則。
今日からできる、組織を変える第一歩を提案します。
Next Action: 【リーダーの方へ】 明日、出社したら一番最初に会う部下やスタッフに、お客様にするのと同じレベルの笑顔と丁寧さで**「おはよう、いつもありがとう。何か困っていることはない?」**と話しかけてみてください。
【働く方へ】 もしあなたが経営者や上司でないなら、同僚をお客様だと思って接してみましょう。職場の空気が少し良くなり、結果としてあなたの仕事がやりやすくなるはずです。
組織マネジメントの本質や、人間関係の原則をもっと深く知りたい方は、ビジネス書の金字塔**『7つの習慣』**(スティーブン・R・コヴィー著)を読んでみることをおすすめします。「人が動く」仕組みが論理的に理解できるでしょう。
