「やめよう」と思った瞬間がチャンス──『菜根譚』に学ぶ、行動を変える決断力
「やめよう」と思った瞬間が、最も強い瞬間
『菜根譚』後集第15章には、次のような一節があります。
「何かをやめようと思ったときには、思い立ったそのときにすっぱりとやめるべきだ。思い悩んだり、いずれそのうちになどと考えていたら、いつまでたってもやめられない。」
この言葉は、現代の私たちにも鋭く突き刺さります。
悪い習慣、人間関係、無駄な時間の使い方──
「やめたい」と思いながら、先延ばしにしてしまうことは誰にでもあります。
しかし、『菜根譚』は明確に言います。
やめようと思ったその瞬間こそ、最も決断力が高まっている。
そしてその瞬間を逃すと、人の心はすぐに“言い訳”や“迷い”に支配されてしまう。
結局、また元に戻ってしまうのです。
だからこそ、「思い立ったら即行動」こそが、変化の唯一のきっかけだと菜根譚は教えています。
「いずれそのうちに」は、永遠に来ない
多くの人が陥るのは、「もう少し落ち着いたら」「来月こそ」「時機を見てから」と先延ばしにしてしまうこと。
しかし、菜根譚は断言します。
「時機を見てから」と迷っているうちは、一生やめられない。
これは、“完璧なタイミング”を待つことの無意味さを指摘しています。
仕事でも、人間関係でも、何かを変えるときに「ベストな時期」は存在しません。
なぜなら、変化には常に痛みが伴い、どんな時期でも不安はつきまとうからです。
「今は忙しい」「まだ準備が足りない」──
そう思っているうちは、いつまで経っても行動はできません。
思い立った瞬間に動く人だけが、結果的に人生を変えていくのです。
「すぐやめる」人が得る、3つの力
やめるべきことをすぐやめられる人には、共通して3つの力があります。
- 決断力
考えすぎず、「やる・やめる」を明確に選べる。迷いが少ない分、行動が早い。 - 自己信頼
「自分の選択を信じる力」がある。たとえ失敗しても、自分で責任を取る覚悟がある。 - 再出発力
何かを手放しても、「また新しい何かを始められる」と信じている。
やめるという行為は、終わりではなく“再スタート”。
執着を手放した人ほど、次のステージに進む準備ができているのです。
やめる勇気が、「次の道」を開く
「やめる」と聞くと、ネガティブに感じるかもしれません。
しかし、やめるとは“あきらめる”ことではなく、“選び取る”ことです。
何かを続けるためには、何かを手放さなければなりません。
人は、すべてを抱えたまま前には進めません。
だからこそ、「やめる」という決断は、人生を前に進めるための最も重要な行動なのです。
たとえば──
- 無駄なSNSチェックをやめて、本を読む時間をつくる
- 心が疲れる人間関係をやめて、自分を整える時間を持つ
- 惰性で続けていた仕事のやり方を見直す
こうした“やめる決断”が、人生の質を大きく変えていきます。
やめたいのにやめられない理由
とはいえ、「頭ではわかっていてもやめられない」という人も多いでしょう。
その理由の多くは、**「恐れ」と「習慣」**です。
- やめたらどう思われるだろう
- せっかく続けてきたのにもったいない
- 失敗したら恥ずかしい
こうした感情が、私たちを“現状維持”に縛りつけます。
しかし、菜根譚の教えに照らせば、それは「心が弱っている証拠」ではなく、
**「変化を恐れるのは人として自然なこと」**なのです。
だからこそ、恐れを感じたときこそ行動する。
その一歩が、思考と習慣をリセットし、新しい自分を生み出すのです。
今日から実践できる「すぐやめる」3つのステップ
- やめたいことを明文化する
まず「何をやめたいのか」を具体的に書き出す。漠然とした思いでは行動に移せません。 - “いま”やめられる小さな一歩を決める
たとえば「今日だけSNSを開かない」「今週は残業後のダラダラをやめる」など、即行動できる形にする。 - やめた後の“空白”をポジティブに埋める
やめた分だけ時間や心に余白が生まれます。その余白に、新しい行動を入れることが大切です。
やめることは、「何かを失うこと」ではなく、「新しい余白を手に入れること」。
その発想の転換が、行動の継続を支えてくれます。
まとめ:迷ったら、すぐ動く人であれ
『菜根譚』のこの章が教えてくれるのは、
**「迷う前に動け」ではなく、「迷いながらでも動け」**というメッセージです。
思い立った瞬間が、あなたの最も強い瞬間。
その勢いを逃さず、一歩を踏み出せ。
やめるべきことをやめる勇気こそ、人生を前に進める最大の力です。
明日ではなく、今日。
今この瞬間の決断が、あなたの未来を変えていきます。
