少子高齢化はデフレが生んだ必然である
経済的不安が生む「産みたくても産めない」現実
時に政治家の中には、「子供を産まないのはわがまま」といった乱暴な物言いをする者がいる。しかし、実際の若い世代の声を見れば、その認識がいかに的外れであるかが分かる。多くの調査で、回答者の80%以上が「2人以上の子供が欲しい」と答えている。価値観として子供を望まない人がいるのは当然だが、問題の焦点はそこではない。
本質は、子供を望んでいるにもかかわらず、経済的理由で断念せざるを得ない層が圧倒的に多いという事実である。
デフレが若い世代の人生を縛ってきた
20〜30代の多くが、奨学金の返済に追われ、住居費や生活費に圧迫され、将来の見通しを立てにくい環境に置かれている。デフレが続くということは、雇用が不安定になり、賃金は伸びず、企業の投資も縮小するという意味である。
この環境で、若い世代が結婚や子育てに踏み出しにくくなるのは当然と言える。
日本ではすでに、デフレを起点とする貧困の連鎖が強固になっており、それが出生率低下という形で表面化している。
少子化は価値観の問題ではなく「構造」の問題
少子化は、しばしば価値観の変化として語られがちだが、その説明だけでは不十分である。真に重大なのは、経済構造が子供を持つという選択を阻んでいる点にある。
理想の子供数が2人以上という希望が広く存在するにもかかわらず、現実には1人、場合によっては0人にとどめざるを得ないケースが多い。この「希望と現実のギャップ」こそ、少子高齢化の根源である。
もし経済的な障壁が取り除かれ、望む家庭が望む人数の子供を持てる状況になれば、日本の少子化は大きく改善する可能性がある。
少子化が企業の不安を高め、さらにデフレを進める
少子化が進めば、将来の労働人口が減り、市場規模が縮小するという不安から企業は投資を控える。投資が減れば雇用も賃金も伸びず、さらに消費が下がり、デフレ圧力は強まる。この負のスパイラルは、すでに日本経済に深く根付いてしまっている。
つまり、少子化はデフレの結果であると同時に、デフレを強める要因として働く。この悪循環を断ち切らない限り、日本の未来は縮小を続ける。
負の循環を止めるために必要なこと
今必要なのは、若い世代の生活基盤を安定させ、所得を増やし、将来への展望を持てる社会を再構築することである。それにはデフレ脱却が不可欠であり、政府が積極的に需要を創出し、経済の土台を立て直す必要がある。
少子化は「自助」の問題ではなく、明らかに「構造」と「政策」の問題である。デフレを温存する限り、この国は確実に貧困へと進む。そろそろ負のスパイラルを断ち切る段階に来ているといえるだろう。
