話が噛み合わない…と嘆く前に。相手との「違い」を踏み台にして解決する方法
「会議で意見が割れて、気まずい雰囲気になった」 「パートナーと価値観が合わず、結局どちらかが我慢(妥協)して終わる」
このように、自分と違う意見を持つ相手に対して、「壁」を感じてしまうことはありませんか?
私たちはつい、自分と違うものを「敵」や「障害」とみなしがちです。しかし、『7つの習慣』の著者コヴィー博士は、その障害こそが、新しい扉を開く鍵だと説いています。
この記事では、対立を避けるのではなく、エネルギーに変える**「シナジー(相乗効果)」**の起こし方について解説します。 理学療法士としてチーム医療を行う中でも、医師の視点とリハビリ職の視点は違います。しかし、その「違い」を深く理解し合った時だけ、教科書にはない画期的な治療法(第3の案)が生まれるのです。
結論をお伝えします。「違い」は邪魔者ではありません。あなた一人では到達できない高みへ登るための「踏み台」なのです。
「妥協」ではなく「第3の案」を探せ
意見が対立したとき、多くの人は以下のどちらかを選びます。
- 敵対(私の案を通すか、あなたの案を通すか)
- 妥協(お互いに少しずつ我慢して、真ん中をとる)
しかし、コヴィー博士が提唱するのは、そのどちらでもない**「創造的な解決策(第3の案)」**です。
「お互いに本当に深く理解し合えたとき、創造的な解決策、第3の案に通じる扉が開かれる」
「第3の案」とは、「A案でもB案でもなく、AとBを掛け合わせることで生まれた、もっとすごいC案」のことです。 妥協が「1+1=1.5」になってしまうのに対し、第3の案(シナジー)は「1+1=3以上」になる魔法のような解決策です。
「違い」は壁ではなく、ジャンプ台である
なぜ、そんな魔法が使えるのでしょうか。そのヒントがここにあります。
「私たちの相違点が、コミュニケーションや進歩を妨げることはなくなる。それどころか、違いが踏み台になって、シナジーを創り出すことができるのである」
水素と酸素で「水」を作る
科学の実験を思い出してください。 燃えやすい「水素」と、燃やすのを助ける「酸素」。性質の違う2つが出会うと、火を消す「水」という全く新しい物質が生まれます。これがシナジーです。
人間関係も同じです。 「慎重な人」と「大胆な人」がぶつかり合うのは、お互いが自分の正しさを主張しているからです。 しかし、「なぜ君はそう思うの?」と深く理解し合った瞬間、慎重さがリスクを防ぎ、大胆さが推進力を生むという、最強のプロジェクトが誕生します。
「違い」があったからこそ、新しいものが生まれたのです。
まずは「深く理解する」ことから
では、どうすればシナジーを起こせるのでしょうか。 いきなり「いい案を出そう!」と焦ってはいけません。コヴィー博士は**「お互いに本当に深く理解し合えたとき」**と言っています。
- 自分の意見を一旦脇に置く。
- 相手の意見を否定せず、「その視点は面白いね、もっと教えて」と聴く。
- 相手が「理解された」と感じて心を開くまで聴く。
このプロセスを経ることで初めて、お互いの脳がリンクし、「じゃあ、こういうのはどう?」というアイデアのスパーク(創造)が起き始めます。 理解なきところに、シナジーは決して降りてきません。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 対立した時のゴールは、「どちらかの案」でも「妥協」でもなく、「第3の案」である。
- 自分との「違い」は、新しい価値を生み出すための「踏み台(材料)」である。
- 相手を深く理解し、尊重することで初めて、シナジー(相乗効果)の扉が開く。
「意見が合わない人」が現れたら、心の中でガッツポーズをしてください。「お、これはすごい第3の案が生まれるチャンスだぞ」と。
Next Action:魔法の言葉「Good!」
今日、誰かと意見が食い違ったら、反射的に否定する前にこう言ってみてください。 「Good! 私と意見が違うね。なぜそう思うのか教えて?」
相手を「敵」から「共同創造のパートナー」に変えるこの一言が、あなたの人生に革命を起こします。
シナジーや第3の案について、より深く学びたい方には、**『7つの習慣』はもちろん、コヴィー博士がこのテーマに特化して書いた名著『第3の案 成功者の選択』**も強くおすすめします。対立を解決するプロフェッショナルの思考法が学べます。
