「妬まない」——人の成功を見ても、心を乱さない力

聖書の詩篇37章7〜8節には、こう書かれています。

「主の前に静まり、忍んで待て。
自分の道がうまくいく人を見て、
悪事を行う者の繁栄を見て、心をいらだたせてはならない。
怒りを捨て、憤りを離れよ。心をいらだたせるな。それは悪へと導く。」

この一節は、まさに「妬み」という心の毒に対する処方箋です。

誰かの成功を見て「なぜ自分じゃないのか」と思う。
不正をしている人が得をしているように見える。
そんなとき、心は乱れ、静けさを失ってしまいます。

しかし、詩篇ははっきりと告げています。
「妬む心は、あなたを悪の道へ導く」と。

妬みは、他人を傷つける前に自分を傷つける

妬みの感情は、他人の幸福を憎むだけでなく、
自分の心の平和を蝕んでいきます。

「あの人ばかりずるい」
「努力しても報われない」

そんな思いに囚われていると、
本来の自分の力を発揮できなくなります。

心理学的にも、妬みは集中力を奪い、
創造性を低下させ、幸福感を著しく下げるといわれています。

つまり、妬みは他人ではなく“自分自身”を破壊する毒なのです。

「なぜあの人が？」と思うときに思い出したいこと

私たちは他人の“結果”だけを見て妬みます。
しかし、その人の“過程”や“見えない苦労”までは見えていません。

見た目の華やかさの裏に、

• 夜遅くまでの努力
• 不安や孤独との戦い
• 人に言えない試練
  が隠れているかもしれません。

詩篇が語る「静まって上を見上げよ」とは、
「他人を見る目を止め、自分の軸を取り戻せ」ということ。

人の人生をうらやむより、
「自分に与えられた使命をどう生きるか」に集中することが、
本当の意味での自由と幸せにつながるのです。

妬みの心を鎮める３つのステップ

では、妬みの感情に襲われたとき、どうすれば心を整えられるのでしょうか？
ここでは、詩篇の教えを現代的に実践する３つの方法を紹介します。

① 一度「静まる」

まずは深呼吸をして、心のざわめきを鎮めましょう。
怒りや妬みは、瞬間的な感情の高まりから生まれます。
その場で反応せず、少し距離を置くことで、感情は自然に落ち着いていきます。

② 「自分の本分」に立ち返る

他人の成功や失敗は、自分の価値とは関係ありません。
「私は何を成し遂げたいのか？」
「自分の使命は何か？」
この問いに立ち返ることで、心の焦点が他人から自分に戻ります。

③ 感謝のリストを作る

妬みは「欠けているもの」に意識が向いている状態。
一方、感謝は「すでにあるもの」に光を当てます。
自分の健康、家族、友人、日々の食事……
小さな幸せを数えることで、心の平安が戻ってきます。

成功しているように見える人にも「時」がある

詩篇37章は、「忍んで待て」とも言っています。
つまり、焦らずに“自分の時”を待ちなさいということです。

他人の成功が早く見えても、それは「あなたの失敗」を意味するわけではありません。
人生には季節があり、それぞれに成長のタイミングがあるのです。

花はそれぞれ違う季節に咲きます。
桜が咲くころに、向日葵はまだ種の中。
焦らず、あなたの花が咲く時を信じて待ちましょう。

終わりに：心を清める“静けさ”を取り戻そう

詩篇37章7〜8節は、こう語りかけています。

「怒りを捨て、憤りを離れよ。心をいらだたせるな。それは悪へと導く。」

妬みは、心の平和を奪い、道を誤らせます。
しかし、「静まって上を見上げる」ことで、
心は再び穏やかになり、自分の本分を思い出せます。

あなたの価値は、他人との比較ではなく、
あなたがどれだけ誠実に生きているかで決まります。

まとめ

• 妬みは他人よりも自分を傷つける感情
• 人の成功を見ても、焦らず静まることが大切
• 「自分の使命」に集中すれば、心は平安を取り戻す

他人の風に揺れるのではなく、
自分の根を静かに伸ばしていきましょう。
その根が深ければ、どんな嵐にも倒れません。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。