『夢をかなえるゾウ0 文庫版』レビュー|ガネーシャと共に“本物の夢”を見つける旅
子どものころの夢を、大人になった今でも覚えていますか?
「将来の夢は何ですか?」
小学生のころに書かされた作文を思い出す人もいるでしょう。しかし、現実を知るにつれてその夢はいつの間にか色あせ、「夢なんて子どもだけのもの」と思い込んでしまう大人も多いのではないでしょうか。
そんな大人にこそ読んでほしいのが、水野敬也さんの大人気シリーズ最新作『夢をかなえるゾウ0 文庫版』です。今回はその魅力を、あらすじと気づきを交えながらご紹介します。
ガネーシャ降臨。主人公は「夢なし社会人」
物語の主人公は、パワハラ課長に日々追い詰められ、心身ともに限界に近づいた平凡な社会人。夢などまったく持っていません。
そこに登場するのが、インドの神様ガネーシャ。関西弁でボケ倒しながらも、主人公を支える存在です。さらに、夢を食べるバクも加わり、物語はテンポよく展開していきます。
しかし、主人公に夢がないため、ガネーシャは困惑。ここから“本物の夢”を見つけるための課題がスタートします。
夢は「意味」を変える力を持っている
本書で語られる大切なメッセージの一つは、
「夢には、ものごとの意味を変えてしまう力がある」 ということ。
同じ仕事も、夢があると輝き出す。やりがいを感じられる。毎日の行動すべてが、自分の夢につながっているように見える。
夢を持つことで人生そのものが光を帯びていくのです。
ガネーシャの課題と“自分を取り戻す”プロセス
主人公が挑戦する課題はユーモラスながら、どれも「自分を取り戻す」ためのものです。
- 日の出を見る → 誰にも邪魔されない時間に、自由を感じる
- 好きな匂いを探す → 忘れていた大切な記憶や感情を思い出す
- 嫌なことを書き出し、反転させる → 本当にやりたいことが見えてくる
こうした課題をこなす過程で、主人公は「自分の夢は、尊敬できる仲間と夢中になれる仕事をすること」だと気づいていきます。
“本物の夢”とは何か
ガネーシャとバクは、夢の本質についても深い問いを投げかけます。
夢とは単なる願望ではなく、 「自分と同じ痛みを持つ人を救うことで、自分自身も救うもの」 なのだと。
つまり、本物の夢には「自分への愛」と「他者への愛」の両方が交わる必要があります。痛みや挫折を経験するからこそ、本物の夢に出会えるのです。
読後に残るのは「自分も夢を探してみよう」という気持ち
本書は自己啓発でありながら小説仕立てなので、堅苦しさは一切ありません。ガネーシャの関西弁ギャグに笑いながらも、心に響く言葉が随所に散りばめられています。
シリーズのファンには必読ですが、初めての方でも十分に楽しめます。むしろ「夢なんてない」と感じている社会人にこそ、一度手に取ってほしい一冊です。
まとめ
『夢をかなえるゾウ0 文庫版』は、夢を見失った大人に「夢を持つ意味」を教えてくれる物語です。
- 夢は人生の意味を変える力を持つ
- 好きなことを思い出すことで、自分を取り戻せる
- 痛みから生まれる夢こそ“本物の夢”
読後には、自分の夢をもう一度見つめ直してみたくなるでしょう。
